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【新説】虹色の鱗【モンスターハンター】
11.
124:◆d2hCxOK7H.
12月22日22時41分17秒 MjRlbQsFO

( 'A`)「ハァ…ハァ…ッ」


川 ゚ -゚)「や、やめ…ろ…そんなトコ……やめろぉ……」


(*'A`)「へへ…たっぷり蜜が溢れてきやがった…」


(*゚∀゚)「うほっ、ドクオ…早くしろよ…」


(´<_`;)「……そろそろ先へ行かないか…?」


ドクオ達のグループは荒巻達とは正反対の場所にいた。
見渡す限り断崖絶壁の岩肌の窪みに頭を入れ、ドクオ達は一生懸命にハチミツを採っていた。どうしても栄養が不足してしまいがちのクエストには欠かせない、まさに万能の薬だった。


川 ゚ -゚)「…もういいだろう…早くしないと蜂に見付かるぞ…?」


(*'A`)「ああ…そうだな…」



崖を下り、平坦な大地に足をつけた瞬間、まるで空を切り裂くような唸り声が聴こえた。その鳴き声は低く、大地も震える程の轟音だった。


(;゚∀゚)「うお……この鳴き声は…ッ!!」


川 ゚ -゚)「ついに来たか…やはりこの辺りが怪しかったんだな…」


( 'A`)「フンが落ちてたからな…と、いう事は近くに巣があるって事だろ…?」


(´<_` )「よく見てたな……来たッ!!!!」



四人は近くの大岩の後ろに身を隠した。まともにやり合っても、勝てる相手では無いからだ。

上空から姿を現したのは、緑色の鱗を鈍く光らせ、巨大な尻尾を持つ飛竜だった。
背中には無数の棘があり、その姿をより一層際立たせた。

森の女王『リオレイア』

リオレウスと対をなし、その狂暴性は他の飛竜の比では無い。


126:◆d2hCxOK7H.
12月25日01時26分46秒 2tHGXPKnO

(;'A`)「でかいな…リオレウスと同じかそれ以上…あんなのを相手にするのか…」


(´<_`;)「あれを狩る…ふふ、もはや人間業を超えているな……」


川 ゚ -゚)「うむ、しかし狩らなければならない…今は被害は無いが、リオレイアが今の蒼いイャンクックの様に変わってしまえば……」


( ゚∀゚)「この島の歴史は終わる…」



固唾を飲んで見守る中、リオレイアは真っ直ぐに巣へと向かい進み始めた。四人はその位置を正確にトレースしながら、早足で巣へと直行する。
迷っている暇などない。

巣のある洞窟の入り口、大きな岩のある場所に辿り着くと、四人は岩陰に身を隠しリオレイアの動向を探る。地道な作業ではあるが、これが飛竜の生態を知る上では一番の方法と言えるであろう。
これから戦う巨大な敵の弱点、行動パターン、生活を知る事はスムーズに狩りを行う為の必須条件とも言える。


(´<_` )「ここが寝床…だとすればここなら他の飛竜はやってこないな…」


飛竜にも自分の領域がある。
生殖活動や子育て、色々な理由はあるが、それぞれの領域を侵される事を何よりも嫌っている。それが例え同族であったとしても、彼等は全力で牙を剥き、排除しようとするだろう。
それほど危険な場所に、ドクオ達は潜入しているのだ。

嫌な汗がどっと吹き出る。


(;'A`)「く…畜生…ッ!!」



汗で剣の柄が巧く握れないでいるドクオは、内心焦りを感じていた。

心臓の音が大きくなる。


127:◆d2hCxOK7H.
12月25日07時40分42秒 DE73lndpO

徐々に大きくなる鼓動を抑えながら様子を伺う四人に、異常な程の緊張感が走る。足音に耳を澄まし、息遣いを肌で感じとり、全身全霊を傾けてリオレイアの動向を探る。


川 ゚ -゚)「何を…しているんだろうか…?」


( 'A`)「…わからん…だが、まだ動くわけには…」


その時である。
リオレイアの視線が大岩の方へと流れ、微かに唸り声をあげ始めた。洞窟内の空気が急に変わり、今にも弾け飛ぶかのような緊張が続く。


(;'A`)「…見付かったか……!?」


( ゚∀゚)「用意はしといた方が良さそうだな…」


(´<_`;)「……」


川 ゚ -゚)「くるか…ならば……やるしかないな…」


薄暗い洞窟の中で、四人は遂に「狩り」の準備をし始めた。それぞれの武器を手にし、静かに鞘から剣を抜き出す。あとはただ、狩るだけだ。
わずかな光が差し込むだけの洞窟内に凄まじい咆吼が響く。茶褐色の内壁に反響してその咆吼は増大し、四人の鼓膜を直接刺激する。


(;'A`)「いくぞッ!!」


( ゚∀゚)「死ぬなよお前ら、生きて旨い酒を飲もうぜ!!!!」


川 ゚ -゚)「当然だ、私が先陣をきる…後に続け…!!」


(´<_`;)「兄者…俺を、導いてくれ…!!」



洞窟内に暖かい空気が流れ込み、その温度が急激に上昇する。壁が赤い色に染まり、眩しく揺らめいている。
リオレイアはドクオ達のいる大岩目がけて巨大な火球を三つ、間をおかずに吐き出した。十分な速度を持った火球達は勢い良く岩にぶつかり、強固な大岩をいとも簡単に粉砕してみせた。だがそこに四人の姿は無い。


川 ゚ -゚)「…もらったッ!!」



洞窟内に美しく舞う妖精の姿があった。両手に剣を持ち、まるで舞を踊る要領で旋回しながらゆっくりと、リオレイアめがけて落ちていく。
着地と同時にリオレイアの翼から細かな血のしぶきが噴き出す。その姿はまるで、一流の芸術品を見ているかのような感動があった。

その一撃で、全ての時が動き始めた。


128:◆d2hCxOK7H.
12月25日08時14分45秒 4sKIKdS/O

( ゚∀゚)「てやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」


クーの着地と共に一つの風がリオレイアめがけ一直線に突撃をかけた。その一陣の風はリオレイアが気付く前に飛び出し、その足元へと距離を詰めていく。両手に持った鉄の刃を十分に絞りこみ、溜めきった力を一気に解放させる。
その一閃はリオレイアの足を直撃し、頑強な鱗を砕き斬った。


( ゚∀゚)「まだまだぁッ!!」


なおも追撃をかけようとするが、リオレイアの素早い旋回によりバランスを崩し、逆に大きな隙を与えてしまった。


(;゚∀゚)「まずった…!!!」


川 ゚ -゚)「しゃがめ、ジョルジュ!!」


クーの声を合図に眩い光が洞窟内を照らした。激しい閃光と爆発がリオレイアの視界を瞬間的に奪う。ジョルジュが体勢を立て直す間に、入れ替わるようにして二つの影がリオレイアへと向かっていく。


(;'A`)「リオレウスよりでかいけど…それがどうしたッ!!」


(´<_`;)「こっちも訓練を積んできてるんだ!!ただでは負ける訳にはいかないんだ!!」


しゃがみこんだリオレイアの顔面に向かってドクオは走っていった。手にした剣からは僅かに電撃が溢れ、その勢いを殺さないように一気にたたみかける。
弟者の大剣がリオレイアの翼を直撃し、鋭い爪が辺りに破片となって飛び散る。同時にドクオも全ての力を乗せた一撃を放つ。サンダーベインの力が開放され、青白い稲妻を出しながらリオレイアの顔へと吸い込まれていく。

現段階では五分と五分。
まさに一流のハンターにのみ出来る芸当だった。


130:◆d2hCxOK7H.
12月26日00時55分17秒 pN6b5+jGO

( 'A`)「やったか…いや、違う…ッ!?」


川 ゚ -゚)「避けろ…!!」


ドクオはリオレイアの顔面に攻撃を加えた後、その場で立ち尽くしてしまった。しかしリオレイアに大したダメージはなく、今度は首を左右に振り始めた。そして勢いよく地面を蹴り、四人の中心へと突進していった。


(´<_`;)「な…は、早すぎる…うわぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!!!」


ドクオ、クー、ジョルジュの三人は辛うじてリオレイアの攻撃を避ける事が出来た。しかし弟者は慣れない戦闘の為かいつもの調子を取り戻せずに、そのまま彼方へと吹き飛ばされた。
攻撃によるダメージは最小限に抑える事が出来たが、そのあまりの衝撃により岩盤に背中を打ちつけ、身動きがとれなくなっていた。

そんな弟者を知ってか知らずか、リオレイアはすぐさま切り返し、弟者の方へと頭を向けた。その目は赤く染まっており、全身の鱗は逆立っている。


(´<_`;)「この…くるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…ッ!!!」


弟者は手にした閃光玉を取り出し、勢いよくリオレイアに向けて投げつけた。が、効果が無い。怒りに我を忘れた飛竜に対して、閃光玉はあまり利用価値は無かった。

(;'A`)「弟者ッ!!そこを…どけえぇぇぇぇぇッ!!」


川 ゚ -゚)「ド、ドクオ…無茶をするな…ッ!!!」


弟者を助け出そうと駆け寄るドクオを嘲笑うかのように見据えるリオレイア。
体の向きをドクオの方に向け、一歩二歩と後ろへ下がるリオレイアを見て、ドクオは更に間合いを詰めていく。


(;'A`)「今がチャンスか…!?このまま突っ切る!!!」


しかし、そう上手くいくはずも無かった。
三歩下がった位置でリオレイアは体を低く下げ、凄まじいスピードで縦に一回転してみせた。その巨体からは考えられない攻撃にドクオは対応しきれず、太い尻尾の餌食となってしまった。


('A(#)「かぁ…ッ……!!?」


川 ゚ -゚)「ドクオッ…!!」


無情にもドクオの体は宙に浮き、数秒間枯れ葉のようにくるくる回ってから、硬い地面へと吸い込まれていった。

数秒間の出来事だった。


131:◆d2hCxOK7H.
12月26日01時23分20秒 7pjDy1jSO

鈍い音が聴こえた。

ドクオは激しく地面に体を打ちつけられ、痙攣を起こしている。辺りに血が飛び散り、手にしていたサンダーベインは空中で回転しながら地表に突き刺さった。


川;゚ -゚)「ドクオッ…!!」


(#゚∀゚)「貴様ぁ…よくもドクオを…ドクオをぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!」


ドクオの側に駆け寄るクーだったが、当のドクオは息も絶え絶えで、既に生死の境にいた。
激昂したジョルジュは大きな剣を引きずりながら、勇敢にも単身リオレイアへと向かっていった。


(;'A`)「ガハッ…グゥ……ッ!!」


川;゚ -゚)「ドクオ…しっかりしろ、ドクオッ!!」


(;'A`)「カ…弟……は…ゲハァッ…!!」


川;゚ー゚)「問題無い、弟者は無事だ…だからしっかりしろッ!!!!」


冷静なクーにしてはかなり取り乱している状態で、持っていた布でドクオの口を塞いでやるしか出来なかった。
大量に吐血しており、このままでは命に関わるであろうと、そうも考えていた。


(;'A`)「ゲッ…ガハァ…!!…ヒー…ヒー……」


川;゚ -゚)「血が喉で溜っているのか……なら…!!」


クーは長く伸ばした髪の毛を手で巻くしあげ、綺麗な形をした唇をドクオの唇へと押し当てた。しばらくその状態で制止し、ドクオの喉に溜っている血液を吸い上げては吐き出した。
それを数回繰り返し、ようやく自らの意思で呼吸が出来るようになった。


川;゚ -゚)「大丈夫か…ドクオ?」


(;'A`)「あ…あ、何とか…無事みたいだな……」


ドクオはふとクーの顔を覗き込んだ。
口元は赤い紅をひいたような状態になっており、なんとも妖艶な雰囲気をかもし出している。目にはうっすらと涙が浮かんでいた。


(#゚∀゚)「てめえ…許さんぞッ!!!」


遠目にジョルジュが剣を振り回しているのが見えた。
力まかせに剣を振るい、巨大なリオレイアにひけを取らない戦いを繰り広げている。

弟者は先程のリオレイアの攻撃により、気を失っている。目立った外傷は無さそうだが、これ以上の戦闘は絶望的だろう。


(;'A`)「……寝ている場合じゃ…ないよな……」


ドクオはゆっくりと立ち上がり、サンダーベインの刺さっている場所へと歩き始めた。足元がおぼつかないのか、ふらふらと力なく進んで行く。

闘争本能なのか防衛本能なのかはわからない。
しかし胸の奥の何かが、瀕死のドクオを動かしていたのだ。


132:◆d2hCxOK7H.
12月26日07時32分43秒 h9pK+f0nO

川 ゚ -゚)「やめるんだ…今のドクオは戦える状態じゃない…やめろ」


(;'A`)「そりゃ…無理な相談だ……俺は戦わなきゃ…」


ふらふらになり、クーの肩を借りながらドクオは自分の剣を拾いに行く。クーの静止の言葉も虚しく、ドクオは剣を拾い上げ、刃こぼれが無いかチェックしている。そして自分の荷物から水を取り出して一口含み、口の中をゆすいでは吐き出した。


(;'A`)「…確かに逃げるのもありだろう……けど、それで街の人達が傷付くのは…見たくない……」


川 ゚ -゚)「……」


(;'A`)「…だから、俺は行く……」


クーの肩から手を離し、自らの足で地面を踏みしめる。未だダメージは残っていたが、そんな事はどうでもよかった。
目で「ありがとう」と言うと、ドクオは意を決したかのように飛び出していった。


川 ゚ -゚)「ドクオ…お前が街の人を死んでも守ると言うなら……私は…」


クーも決意した。
過去の記憶が脳裏に蘇る。優しかった人、親しかった人、愛していた人…その全てが消え去っていったあの日の事を。

もう、繰り返したくない。


川 ゚ -゚)「なら私は…死んでもお前を守る」


クーの顔がいつになく真剣な表情に変わった。
そして再び双剣を手に持ち、ドクオの後を追い駆け出した。


(#゚∀゚)「おりゃああぁぁぁぁぁ…、なんぼのおっぱいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!!!」


変わらず鉄刀を振り回すジョルジュを嘲笑うかのように、身軽な動きでその攻撃を避けるリオレイア。
ジョルジュも既に疲弊しており、斬ると言うよりも叩くに近い攻撃しか出来なかった。もはやまともに狙いを定める事すら困難な状態だった。


(;゚∀゚)「ハァ…ハッ……このぉ…!!」


(;'A`)「ジョルジュ下がれ…巻き添えをくうぞッ!!」


(;゚∀゚)「ドクオ…!?」


川 ゚ -゚)「ここは任せろ、ジョルジュは少しでも体力を温存していろ!」


(;゚∀゚)「お前ら……少しだ、少しだけ時間を稼いでくれ!!」


川 ゚ -゚)'A`)「…把握した…!!」



あきゅろす。
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