二人だからありな事 「だぁぁあぁ!なんでわかんねぇんだよ!!」 宍戸の声がコート内に響く。それは苛立ちともどかしさを含んだ、そんな声。 「そ、そんなに怒鳴らないでくださいよぉ〜」 その後に続く弱々しい声は、その声さえ聞けば誰にでも分かると言うほど、誰の耳にも聞き慣れたものだった。 「またやってるぜ?」 呆れたように笑う岳人。声の方へ振り向いた顔の真横を、黄色いボールが走った。 「ちょ、岳人。よそ見したらあかんやろ?もう少しで顔面に当たるとこやったで?ほんま焦るわ〜」 そうは言うものの、どこか涼しい顔をしている忍足は、岳人の元へ歩み寄った。 「なぁなぁ、見に行こうぜっ」 飛びながら弾むように言う。 そんな岳人を見て、忍足はため息を一つ零した。 「どうせ、いつものくだらん事にきまってんで」 「で?で?今日はどうしたんだよっ?」 跳びはねるたびに、その赤い髪がフワリフワリと浮く。それを見て、今度は日吉がため息をついた。 「いつもみたいにくだらない事ですよ」 そういって目で促すと、岳人は二人に視線を向ける。 「だいたい何でコッペパンをしらないんだよ!!」 「そんな事言われても知らないものは知らないですよぉ〜」 「これだから金持ちのボンボンはダメなんだよ!!あーまたこれでお前との間に溝が出来たな」 プイッとそっぽを向く宍戸に長太郎が縋り付く。 その様子を岳人が楽しむ様に眺めている。 「昨日のうまい棒に続いて、今日はコッペパンか〜あいつらもネタがつきないよなぁ〜」 「だいたい、コッペパンを知らないなんて人生の半分は損してるぜ!!」 「そ、そんな〜昨日のうまい棒さんも人生の半分だったから、コッペパンさんと合わせたら・・・損しかないじゃないですかぁ〜」 「う、うまい棒は今日の昼飯の時にやっただろ!」 「あっ!そっかぁ〜」 泣きそうだった顔が瞬間、綻ぶ。が、またすぐにもとの泣きそうな顔に戻った。それを見て、宍戸が明後日の方向を向く。 「あっ、明日の昼飯、コッペパンだった気がするな〜」 そしてこうあたかも独り言であるかの様に発した宍戸の発言に、長太郎の表情が一気に明るくなった。 「宍戸さん!宍戸さん!明日のお昼、一緒に食べてもいいですか?コッペパンを一口だけ頂きたいです!」 「べ、べつにいいぜ!け、けど勘違いするなよ!?お前の為に持ってくるとか、ましてやそれを口実にお前と昼飯を一緒にしようとかそんなんじゃねぇからな!」 「はい!これで宍戸さんとの距離もなくなりますねっ」 こうして、二人はいつもの様に仲直り。日吉と忍足もいつもの様に深いため息を一つだけ零す。岳人は"最近、これを見ないと部活が始まった気がしない"などと言い、満足そうにコートに戻っていた。 「この毎回の喧嘩は早い話あれやろ?昼飯を一緒に食べませんか?っていう宍戸の精一杯のお誘い」 「……ですね」 そしてまた、二人分のため息が空気中に吐き出されていった。 ----------------- これ、半身浴しながら全裸で書きました(^ω^) だからこんな出来でも仕方がないと思う(^ω^)思う(^ω^)思う・・・よね(^ω^)? むしろ思って(´;ω;`)? サーモンがうまいという事について、誰か語りませんか? そうですか、語りませんか。 |