小説 優しい風 ☆母の日 ほのぼのシリアス夫婦犬かご というか、すごく短い(^^; 風が頬を撫でる。 何年ぶりかに来たこの場所。 少し伸びた雑草をなぎ払い、抜き、その場所を綺麗にする。 『優しい風』 神だの仏だのは信じちゃいないのだが、とりあえず隣に居る人を見習って手を合わせ、目を閉じた。 あの女性(ひと)の笑顔が浮かぶ。 貴女はあの美しい姿のままで、俺に笑いかける。 俺の記憶で止まったままの貴女。 声などとうに届かない。 想いだって届くか分からない。 幼い子供を置いて逝った貴女は、きっととても俺の身を案じたことだろう、と今ならそう考えることが出来る。 「……犬夜叉」 ふと目を開けた。横には控えめに笑う愛しい人。 「…行くか」 「十六夜さんとお話しできた?」 「ばーか。死人に口が開けるわけねーだろ」 「でも…」 「大丈夫だ。おふくろに言いたかったことはもう伝えた」 「そう……」 そっとかごめの手を引いて、おふくろの墓を後にする。 風が俺の耳を揺らし、髪を揺らし、頭上の木の葉を揺らした。 ずっと言いたかった。 貴女に逢うことはもう叶わないけれど、心の内で呟いた言葉が貴女に届けばいい。 ―おふくろ、俺は今すげえ幸せだ 俺を産んでくれたことに…感謝するぜ 「犬夜叉!!見てみて!すごく綺麗よ!」 かごめが指さす方向を見れば、そこには揺れる木漏れ日。 もう一度、風が吹いた。 優しい風が吹いて、消えた。 了 母の日! 花束って今のご時世、とても高いのね……orz 「そういえば!」 と、っばしばし打った文章なので少し展開はやいです笑 お読み頂きありがとうございました! 前へ(*)次へ(#) [戻る] |