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小説
その数の意味#


学パロ

犬夜叉×かごめ















「…なんじゃこりゃ」


部活後、教室に置き勉をしに来た朔真(さくま)犬夜叉は妙なものを見つけた。


『その数の意味』


この席――自分の2つ斜め後ろの席は日暮かごめの席だ。弓道部に所属し、このクラスの生活委員でもある彼女。


「…気になるな」


そして、俺の想い人でもある。

そっと机の表面に書かれている文字をなぞる。そこには「正」の字が3つと三画しかない書きかけであろうものがひとつ。

「正」の字はよく何かを数えるときに使われるもの。もしそのように使っているとしたら、彼女は何かを18数えていたことになる。

その時携帯のバイブが短く鳴った。一旦思考を中止して、携帯の画面を見る。


メールが一通届いていた。


「んだよ」


弥勒からだった。内容は一緒に帰ろう的なものだったので適当に返信しようとかごめの横の机に腰かける。


――校門で待ってろ、っと


かこかこメールを打っていると、すぐ後ろから声が聞こえた。


「部活終わったの?」


心臓が三回転くらい跳んで回った。危うく机から落ちそうになるのを寸でのところで堪える。


「ま、まあな…日暮もか?」


「うん!お互いお疲れさま、だね」


にこりと微笑む彼女にくらりときた。かごめはどうやら部活の道具をしまいに来たらしく、ロッカーの方に袴などを入れている。


「あ、朔真くん!置き勉はダメよー」


見てたんだからね、と後ろに束ねられたポニーテールが揺れた。赤いゴムが薄暗い教室に映える。


「見逃せよ。胴着重いんだっての」


「部活休みの日だってしてるじゃない」


「…それはそれだよ」


「もう!持って帰るの手伝うから」


「まじかよ!?」


「う・そ♪」


かごめは振り返って、いたずらっ子のように舌をペロリとだす。


――ああぁぁぁああ!!!可愛すぎだろぉぉおお!!


顔を手で覆う。教室が暗くてよかった。こんな赤面づら見られたらお終いだ。

何がか、

俺のプライドがだ。


「朔真くん?」


「!」


いつの間にか下から覗き込まれていた。上目遣いは反則だ。


「顔隠して、どうしたの」


「いや、なんでもねー…てか、もう7:00だけど大丈夫か?」


「え!嘘、やだ!帰んなきゃ!!」


あたふたと帰り支度を始めるかごめ。結った髪をほどき、宙に一瞬放たれた黒髪からは彼女の良い匂いがした。

かごめが自分の机に向かった時、思い出した。先ほどの疑問を彼女に聞いてみる。


「その『正』の文字ってなんだ?」


「え!?」


驚いたその顔に驚いた。見る間にぽぽぽっと染まる頬は、赤いゴムの色のようによく映える。


「な、なんかまずかったのかよ」


「まずかった…わよ!」


目線を合わせるように少し屈むと、睨み付けられる。しかしその瞳は羞恥のせいか若干潤んでいた。


―やべ、楽しい…


「ふうん」


逸らされる顔を両手で挟む。なんでだよ、と尋ねると両頬に痛みが走った。


「っいひぇよ、ばか!」


「離してよ、ばか!」


つねりあげられていた。細い指だから圧力の関係上とても痛い。

顔を解放すると同時に指は離されたが、鈍い痛みが残る。文句のひとつでも言ってやろうと口を開く前に、


「朔真くんを見てた回数なんて言えな……っあ!」


「え」


流れる沈黙。カチコチと時を刻む時計の音と、ドキドキと脈を打つ心臓の音が煩い。


「……18回も、か?」


「ストーカーで悪かったわね…」


強がっているようだが、内心は落ち込んでいるのだろう。しょんぼり、という空気を背負っているのが見えるようだ。


「…いや、……」


「…何よ」


「その、嬉しい…ぜ」


「!?」


「もっと見てほしい」


かごめの両腕を己の手で拘束する。我ながら大胆な行動だとは思ったが、この感情を抑えつけるには少し時間が遅かった。


「日暮……」


「さ、朔真…くん……」


絡み合う視線。どこか熱っぽい二人の瞳は自然と閉じられた。

ゆっくり顔を近付けていって、唇まで後数cm……


ブーッ ブーッ


バイブが鳴りやがった。


「…すまねえ」


「う、ううん」


弥勒だった。あいつ明日ぶん殴ってやる。


メール画面を開くと、たった一文字だけ書いてあった。


[祝]


「ぁんの野郎〜っ!!!」


「どうしたの?」


いきなり大声をあげた俺にかごめが驚く。まさか今までのことを覗き見されてたかもしれない、など言えない。


「き、気にすんな…あー、もう7:30だな」


「本当ね…さっ!帰りましょ、朔真くん」


「え、一緒に…か?」


「何よ…嫌なの?」


嫌なはずがない。なんだか今日は願ったり叶ったりで、もしかしたら一生分の幸せを使い果たしてしまったのかもしれない。


「なわけねーだろ。お前チャリ?」


「歩きよ」


「じゃあ俺の後ろ乗れ」


「えっ!い、いいの?」


「おう」


その時、ありがとうと悩殺モノの笑顔に更に惚れたことは言わずもがな、である。






もうチラホラとしか残っていない自転車の中から、自分のものを探すのは容易かった。

かごめの鞄を籠にいれ、俺のエナメルはかごめに背負ってもらう。


「手はどこを掴めば良いの?」


「お前が一番バランス取りやすいところで良いぞ」


「はあい」


そう返事をして、回されたところは腰だった。


「っ!!」


無意識に身体が竦む。ああ弱点バレたな、と思った。


「朔真くん…脇腹弱い人?」


「…さあな」


「えいっ」


「や、やめ…っ!!落とすぞコラ!」


「朔真くん可愛いー」


背中に感じた重み。二人乗りは想像以上に身体が密着した。肩甲骨らへんに感じる柔らかいものが何か理解すると、そればかりが気になる。


「…男に可愛いなんざ言うもんじゃねえぞ」


それがかごめにバレないように、低い声で文句をいう。すると、更にかごめは身体を寄せてきた。


「…朔真くんにしか、言わないもん」


「!」


―っなんだコイツ!どんだけ俺を惚れさせたら気が済むんだよ!!


もう限界だった。自転車を路肩に止め、暗い路地裏にかごめを連れていく。


「さっ、朔真く…っん」


唇を塞いだ。先ほどの胸といい、この唇といい、女ってやつは全てが柔らかいもので出来てんじゃないか、と頭の片隅で考える。

衝動的だったが、まだ付き合ってもいないのに、という理性のもとすぐ唇を離す。

かごめを見ると瞳に涙をためていた。焦る。やっぱり嫌だったか、と聞こうとしたとき、


「!」


抱き締められた。思考がまとまらず呆然と立っていると微かな呟き声で我に帰る。


「好きです…朔真くん…」


気付けば抱き締め返していた。実を言うと、コイツはハードルの高い女だったのだ。半ば無謀な片想いだったのに、と複雑な気持ちが胸を締め付ける。


「…好きだ、日暮」


「本当に……?」


「本当だ」


「…嬉しい」


「俺もだ」


自分はこんなにも優しい動作が出来たのか。自分でも驚く程、彼女の頭を優しく撫でていた。

腕時計をチラリと見る。もう20:00をとうに過ぎていて。

コイツの親になんて説明すりゃ良いのだろうか、と内心苦笑した。






それから、かごめの家でおふくろさんに大歓迎を受け、犬夜叉が自宅に帰ったのはもう22:00を回っていたのだった。










学ぱろ\(^O^)/
彼の名字は、勝手に朔真くんにしちゃいました←

名字呼び…いいなと思ったのが原因ですね笑


彼は脇腹弱いといいな〜という妄想(/--)/
かごめちゃんの弱点は…また次の機会に書きたいですな(^^

ちなみに

かごめちゃん→弓道部

犬夜叉→剣道部

バスケ部と迷ったんだけどね…彼には剣の道を行って欲しかったので笑



お読み頂きありがとうございました!

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