小説
境界線の一歩手前で
シリアス…?←
(夫婦犬かご)
布団に潜ったとき、背中に感じたのは視線。
ゆっくり気配を探ると、いつもと違う空気をまとう彼女が感じられた。
となると寝るわけにはいかない。起き上がって振り返ると、哀しげな瞳がこちらを見つめていた。
『境界線の一歩手前で』
「どうした?」
「…犬夜叉」
「ん?」
名前を呼ばれたが、何か言うのを躊躇っているらしくしばらく沈黙が続いた。
「こっち来い、かごめ」
来い、と言いながら彼女の腕を引いてその小さな身体を包み込む。
「…あったかい」
ほぉ、と安堵混じりのため息が聴こえて俺も胸をなでおろす。
「俺もあったけー」
かごめの頭に頬を擦り寄せるとくすりとこぼれる笑み。
「あのね……」
ひとしきり笑った後にぽつりと呟かれた。
「私たちって、他人なんだなあって」
「……は?」
あまりにも唐突で。ついでに衝撃も受けて、間抜けな声が出てしまった。
「一生交われないんだなあ、って」
「…かごめ、1から話してくれ。お前それ6くらいだろ」
話の全貌が見えなくて待ったをかける。少なくとも楽しい話では無さそうだ。
「えっとね……」
と言いながら急に強く抱き締められる。その急な行動に、不覚にも戸惑った。
「こんなに強く抱き締めてるのに…」
ん、と小さく相槌を打つ。
「犬夜叉と私の血は…交われないの」
俺の胸から顔を上げて寂しそうに見つめてくる。その瞳は少し濡れていた。
「例えば子供が出来たらね、その子に私と犬夜叉の血が流れるでしょ?」
「ああ」
「その子と私たちは血が繋がってる親子にになるでしょ?」
「…ああ」
でもね、と言いながら再び顔を胸に寄せられる。
「私と犬夜叉は血が繋がらない…他人のままなの」
「……」
寂しいよ、と握られた袖からは微かに震えが伝わった。
かごめと俺がいくら血肉を分けた子を持っても、俺たちは血も肉も全く別物――他人のままということ。
「一番近くにいる他人…」
声にも少し震えが入っていて、こっちが逆に切なくなる。
血の繋がりがなくとも
想いは確かに繋がっているはずで。
他人のまま、というのは変えられない事実だけど
それが寂しいと貴方が言うのなら。
それなら、俺は
「俺は、この世で一番お前を愛する」
「…!」
「血は交われねーけど、誰よりもお前を…幸せにすっから」
だから、と身体を離し衣の裾で彼女の濡れた頬を拭う。
「…他人、だなんて哀しいこと言うんじゃねえよ」
「…っい…ぬや……っ」
「……な?」
「…っ…ん…」
泣き顔に少し笑顔が灯った。そんなかごめの顎を軽く持ち上げる。
「それに……」
押し付けた唇の熱。
熱くて柔らかい彼女の唇が心地好い。
ゆっくり離れると、頬を桜色に染める愛しい人。
「血は交われねーけど、口付けは交わせるだろ?」
もう一度、今度は軽く押し付ける程度の口付け。
「…俺はこれで充分だ」
さっきよりも強く抱き締めると、応えるように腕を背中に回してくれた。
交われないと言うのなら
ずっと傍に居ると誓おう
一生お前を守ると誓おう
。
了
突発性思いつき症候群
ざかざかと書いていきました( ̄▽ ̄)笑
もはや何が何だか…
とりとめのない文章でごめんなさい!(´Д`;
お読みいただきありがとうございました!
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