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小説
尋ねて応えて

甘(犬かご夫婦)






『尋ねて応えて』




「あら、おかえりー!」


日も沈み、外には星たちや月が輝き始めていた。

片手には今日の妖怪退治の報酬を持っているであろう夫に声をかける。

後ろで荷物を置いた音が聞こえたあと、近づいてくる足音。

突然腰に腕が回り、後ろから抱き締められた。


「…犬夜叉?」


「た、…ただいま……」


「!」


ばっと後ろを振り替える。あの犬夜叉が…「ただいま」!?嬉しくて、驚いてしまって、見上げた犬夜叉の顔は


「…な、なんか変かよ//」


耳が少し垂れていて、顔は真っ赤だった。


何故そのようなことを!と尋ねるより、その表情が可愛くて。


「ううん、おかえり」


にっこり笑えば、ふいっと顔を逸らされる。その横顔が拗ねているような、照れているような。


「…は、腹減った!飯できてっか?」


話題を変えようと慌てる犬夜叉。


「出来てるわよ。あっちで少し待っててね」


夕食を運ぼうとお皿に盛り付ける。が、その間も犬夜叉は私を離そうとしない。


「あ、あの……犬夜叉?」


「……ん?」


一旦夕食の用意は諦めて、犬夜叉の方に向き合う。


「どうしたの?」


「……別になんでもねえよ」


ふいっと目を逸らされる。――この反応は…


「弥勒さまになに言われたの?」


「!!」


びくりと犬夜叉の肩が大きく跳ねる。図星のようだ。


「もうー。それで?」


何吹き込まれたのよ、と尋ねると、ばつが悪そうに頬をかく。


「『ただいま』を言えって…」


「…それだけ?」


「…おう」


じゃあ、抱き締めたのは犬夜叉の意思なのね、と少しほっとした。だってこれも弥勒さまの指図だったら、悲しいもの。


「犬夜叉、無事に帰ってきてくれてありがとう!」


とびっきりの笑顔を向ける。驚いたように黄金色の瞳が大きくなった。

めいっぱい背伸びをして、その頬に軽い口付け。


「さっ、夕食にしましょ!」


夕食を運び出したかごめと反対に、真っ赤な夫はその場を動けずにいた。






――


「……犬夜叉…」


「…ん?」


「…寝づらいんだけど」


日付も変わり、そろそろ眠りにつこうと布団の中に居るのだが、寝れない。


「気にすんな」


枕元でこれでもか、というほど犬夜叉が見つめてくるのだ。


「気にすんな、じゃないわよ!もう〜…」


仕方なく起き上がる。今日の犬夜叉は弥勒のせいだとしても何処かおかしい。


「犬夜叉は寝ないの?」


「おう。寝なくても大丈夫だからな」


「そう……」


それでも、寝ようとする人に視線を送り続けるのは止めて欲しい。

それなら一緒に寝るか、起きてるかする方がいい。


「……あのよ、」


「?」


「…抱き締めて良いか?」


「!///」


いつも、どんな時でも構わず抱き付く犬夜叉が!改めてそんなふうに聞かれると照れてしまう。


「い…、いいよ…///」


「…ん」


腕を伸ばされ、誘われるように胡座の上に座ると、布団をかけられ、心地よい温もりに包まれる。


犬夜叉も無言なものだから、気持ちの良い静寂にうとうとし始めた時、


「…かごめ」


「……ん…?」


「口付けていいか?」


「へっ…!?///」


一気に覚醒した。


「なっ…んでそんなこと聞くの!///」


「…嫌か?」


「っ……//」


無言を承諾と見なしたのだろう。そっと向かい合わされ、私は反射的に目を閉じる。


が、なかなか唇に触れない熱。不思議に思い、そろそろと目を開けると


「ん、どうした?」


にやにやと意地悪っぽく笑う犬夜叉がいた。


「なっ!?///」


「まだ応え聞いてねえから」


そう言って、唇が触れそうな程近くに顔を近付けられた。


「い……ぬや…///」


「…口付け。欲しいか?」

「〜っ……!///」


これじゃ私が求めてるみたいで。


でも……、


して欲しい。


「ほ……欲しい…です//」

「ん」


一瞬嬉しそうに目が細まるのを見た。

後は、犬夜叉にされるがままで甘い夜は更けていく。







――


「昨晩はどうでしたか?」

依頼された妖怪退治に向かう途中。

にこり、っつーか、にたりと笑いながら尋ねられる。

「おう…//」


「ほぉ。その様子では楽しかったようですねえ」


「っ!///」


こんな反応すれば、からかわれるのは分かっちゃいるが、勝手に身体がそうなっちまうから仕方ない。


「普段とは違う雰囲気だったのではないですか?」


…なんでこんなにもお見通しなのだろうか。


「ま、まあ…」


「おなごとは、自分から求めるのを恥じりますからねえ」


強制的に求めさせればいいんですよ、と往来でとんでもないことを言いまくる。

…仮にも法師だろうが。




それでも、あんなに求められたのは初めてで。


しかも、普段とは全く異なる甘い声と色っぽい仕草で……


「…犬夜叉、顔が真っ赤だぞ」


「!///」


お前は分かりやすい、とまたバカにされる。…放っとけ!


「今日も早く帰りたいものだな」


「…あぁ///」







尋ねて、応えて。


返ってくるのは甘いもの。







おぉ…

じゃっかんスランプぎみ?←

ちょっとまとまりのない文章でした(._.;


お読みいただきありがとうございます!

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