「――イリヤさん!」
「んん……?」

池袋。

罪歌と戦っていた棚戸イリヤさんと罪歌を“食い”止めていたエリコ・サイケデリックちゃん。

俺、折原臨也が池袋に着いたとき、両方の戦いは既に終わっていた。

ぼろぼろのイリヤさんから説明を受ける。
イリヤさんとエリコちゃんの能力を。

「巨大な深層心理の持ち主に、異形を喰らう鬼ですか。
これにシズちゃんが加わったら罪歌に対抗するメンバーとしてはお釣りが来ますね」
「ふわぁ……」

イリヤさんは大きくあくびをして座りこむ。

「そうだねえ……臨也くんとしては、想定外かな?想定内かな?」
「どちらでもありませんよ。
俺は偶然を愛してますから」
「馬鹿みたいね。必然は臨也くんを愛してくれないと思うよ?」
「恋はいつでも一方通行ですよ」

肩をすくめるとイリヤさんはうんざりした表情を見せた。

うわ。軽く傷つく。

「凉梨ちゃんはさぁ……」

イリヤさんはよろりと立ち上がりながら話す。

「自分が異常な代わりに、異形の相手にはめっぽう弱いの……。
だから罪歌には勝てない」
「たしかに。
その点、イリヤさんは絶対に罪歌に食われない。
エリコちゃんは罪歌を殺せる。
ディフェンスとオフェンス、両方を二人でこなせるわけですね」
「そうね……」

イリヤさんは意味ありげに笑った。

「池袋は今、ダラーズ、黄巾賊、罪歌の三つ巴だよね……でもね……凉梨を入れれば四すくみだよ……?
ダラーズと、黄巾賊と、罪歌と……イリヤ、鬼、棚戸三兄弟の妖怪連合軍てとこかな」
「妖怪って、」

なにか他に言い様は無かったのか。

「うんうん……。
臨也くんとしては戦略……策略かな……の幅が広がって良いんじゃない?」
「まぁ確かにおもしろくはなりそうですが」
「めっちゃ笑ってるー……うざい」
「ホントやめてください。かなり傷つくんで」
「嘘つき……」



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