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報告。
棚戸イリヤ。
棚戸三兄弟の母親。
アメリカ住まい、懲役300年の囚人。
そんな人間がなぜ池袋に来れたのかは不明。
控え目な性格と大人しい喋り方。
知謀策略に長け一筋縄ではいかない性格ながらも知り合いは多くしたたかな人物。
昔、棚戸凉梨(別紙参照)と折原臨也が出会うきっかけとなった倒産事件の依頼人。
本人は棚戸三兄弟を溺愛しているが、棚戸三兄弟からは蛇蝎のごとく嫌われている。
今回の斬り裂き魔事件について調べるため、来日。
エリコ(別紙参照)と一緒に罪歌事件に臨んでいる。
罪歌とは知り合いらしいが――――――
(ぶつんっ)
「……ちょっと。イリヤさん。このパソコン高いんですけど」
「人の個人情報の価値には代えられないんじゃないかな……?臨也くん?」
パソコンのコードを左手に微笑むイリヤさん。
イリヤさんに秘密で今回の事件の情報を整理していたら、それをめざとく見つけてイリヤさんは情報隠蔽に動いた。
つまり。簡単に言うなら。
パソコンのコードを全部抜いた。
当然ウィンドウは真っ暗。
罪歌事件のデータは情報世界の彼方に消えてしまった。
「ほら……ね。イリヤは秘密の女だから……情報とか残っちゃ困るの……」
「秘密の女ってネーミングが似合うのはイリヤさんくらいですよ。
ところでエリコちゃんはどこに行ったんですか?」
「凉梨ちゃん達のお迎え……。
今頃ずたずたぼろぼろだから……」
「は?」
今、なんて言った?
「ずたぼろってどういう意味ですかイリヤさん」
「話してなかったっけ……?」
イリヤさんはきょとん……?とした顔。
「聞いてませんよ」
「……なにしてるの……臨也くん?」
「エリコちゃんの後を追うに決まってるでしょう」
「止めときなよ……それに……」
コートを取ろうとした俺の手首を掴んで、イリヤさんは怪しく笑った。
「今夜で全部……終わるから」
恋をした。
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