世界は無知に優しい。

世界のあらゆる些事に気付かずに生きていけたらどれほど幸せだろう。世界は気付かなくていい悲しいことでいっぱいだ。例えば罪。例えば罰。そんな……悲しいことにも悔しいことにも哀しいことにも寂しいことにも気付かずに生きていけたらどれほど幸せだろう。なぜなら悲しいこと、悔しいこと、哀しいこと、寂しいことは、気付いたときにはたいがい“手遅れ”で。どんなに足掻いてもどうしようもないことだからだ。だったらいっそのこと気付かないままの方が幸せ。知らないままなら幸せになれる。そして幸せになろうと足掻かずに、不幸せにならないように頑張る。世の中、しょせんそんな物だ。でも幸せになった人はがんばっているけれど、がんばった人が幸せになれるとは限らない。
世の中は不公平だ。

でも。

そんな中で人は好きな人には幸せになってほしいと願う。悲しいことに気付かずに過ごしてほしいと思う。

だから僕は……世の中の悲しいことを知りながら、それに抗おうとしない素敵で無敵な情報屋さんに。

――幸せになってほしいと願った。











[次へ#]

あきゅろす。
無料HPエムペ!