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short
コンビニ店員が現代パロでグリレを書いたといいはった結果。
「いらっしゃいませー」

ドアがあけば言う決まったセリフ。
ここで働くことが決まった一番最初に教えられた仕事。

店のドアがあいたらお客様にごあいさつ。

「いらっしゃいませー」

「あら?こんなとこで働いてたの?レッドくん」

「お久しぶりです。先月からこちらで働かせてもらってるんです」

たまに知った顔がお客さんになることもある。

なんのことはない。

「こちら温めますか?」

「ああ、頼む。」

しかし妙に顔を覚えてしまう客もいる。

たとえばこのツンツンウニ頭。

女性店員の間ではすでに話題に上りつくしており、確かに男の目からみても顔は整っていると思う。

この男性は決まって平日の午前中8:20〜8:30という時間に現れ
決まって鮭おにぎりとサラダとウーロン茶を買っていく。
思うにこのボリュームは朝ごはんだ。
ちなみに鮭おにぎりは必ずレンジアップしていく。

以前、レッドが寝不足で「おにぎりあたためますか?」と聞くのを忘れてしまったときは、とてもとても口惜しそうにレジ袋を提げて彼は店を出たのだった。

しかし、今日は鮭おにぎりがない。

どこぞの野球部の団体がおにぎりというおにぎりを買い占めていったのだ。

先ほどから常連さんの苦情がうっとうしい。

アルバイトのレッドが何を言われたところで平謝りするしかないというのに。

さておにぎりがない今日この日に、

彼は来店するのだろうか。


「いらっしゃいませー」


来た!!
そして彼を狙ってこの時間によく来店する女性客は立ち読みをしながら彼を盗み見ていた。

彼のコースは決まっている。

まず店に入るとまっすぐドリンクコーナーに向かい98円の弊社ブランドのウーロン茶をとる。

次は他のものなど存在しないようにまっすぐ惣菜コーナーに行き、ノンオイルドレッシングが入っているカロリー控えめ朝にフレッシュなサラダ398円をとる。

そしていつもならそのすぐ隣のおにぎりコーナーの最上段堂々のセンターに誇らしげに並ぶ鮭おにぎり136円をとり、出入り口のドアにいちばん近いレジで会計をする。(なぜか彼がいるときレジが混まないのは店員の間で有名である。)

しめて632円。

しかし今日は、彼のいつもの流れるような足取りはおにぎりコーナーの前で止まった。

おにぎりコーナー2段目に貼った急ごしらえの手作りお知らせチラシを彼は凝視している。

「申し訳ありませんが、今朝がた団体客によるおにぎりの買い占めがあったため、本日午前10時の納品まで品切れ状態となっております。ご了承ください。」

さあ!どうする朝ごはん!!


レッドはやたら期待するも彼は普通にあきらめて巻きずしといなりずしがちょうどいいボリュームの詰め合わせを手に取りレジに持ってきた。

彼はレッドがレジでバーコードを読み終えるより早く1002円を出した。
いつもならそれでいい。
いつもなら。だが今日は。

「757円です。」

詰め合わせは125円、鮭おにぎりより高いのだ。

すると彼は55円を出した。

あわてないなぁ、と少し面白くない。

「1057円からお預かりします。300円のお返しです。」

箸を一膳つけて、着色された弁当用のレジ袋をわたす。

すると彼はレッドの顔を見て、レジ袋をみて、もう一度レッドの顔をみて、とてもとても口惜しそうに店をあとにした。

(まさか、、、、)

レッドはレンジをみた。

(あたためるのか!?酢飯を!?)


彼はレッドにカルチャーショックを与えたのだった。











後日

「こちら温めますか?」

「あ、ああ!!頼む。」

温めますか?の一言に少し彼の声が明るくなった気がしたが気のせいか?

「757円ちょうどお預かりします。」

彼は寿司のつめあわせが気に入ったようだった。




あの日あの時あの場所で
鮭おにぎりがあったなら、俺は自ら酢飯をレンジアップして食べなかっただろう

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あきゅろす。
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