白雪姫 赤瞳の白雪姫10 国境付近にある大きな建物。 その廊下でこつこつと二人分の靴の音が響く。 「君の目にこの廊下はどう映っているのかな?」 こつこつこつ…… 「……。」 「ちょっと派手すぎだと僕は思うんだ。ミナキくんの、王子の趣味でね。僕はもうちょっと落ち着いた方が好きなんだけど。」 こつこつこつ…… 穏やかに、穏やかにマツバは話し続ける。 その数歩後ろをレッドは歩いていた。 手錠もなにもない、自由な状態で。 「君はどう思う?」 「………。」 レッドは答えない。 こつこつこつ…… 何も話さない。 もしかしたら空を見るのも最後かもしれないのに。 天窓から降りるひかりを追うので精いっぱいだった。 自分は閉じ込められてしまうのだろうか。 「だんまりだね。もしかして、」 こつこつこつ…… 「鉄格子でも見えたのかな?」 こつこっ…… レッドは歩みを止めた。 それに気付いたのかマツバも足を止め振りかえる。 じっとマツバを見るが、彼は柔らかい表情のままだ。 「その部屋で、王子が待ってるよ。」 レッドが止まったその横のドアを、マツバはノックした。 [*前へ][次へ#] |