愉快犯的犯行で5題 1.下手なピエロには引導を (鉢屋三郎) 『何であの人は偽者だって教えちゃったのさ』 「何でもいいだろ」 『気になるじゃん。気になり過ぎて手元狂っても知らないよ?』 「………ちっ。気に入らなかったんだよ、あんな穴だらけの変装と嘘の建前が。あれならバレるのも時間の問題だった。なのに完全に騙した気になってるのがカンに障っただけだ」 『ふーん』 (騙すなら完璧に) 2.現実逃避はこちらです (立花仙蔵) さぁ、こっちに来い。 お前の望むものがここにはある。ここでならば迷いも恐れも悲しみさえも無くなるぞ。 どうだ、魅力的だろう?安心しろ、すぐにそこへ辿り着ける。だから早く ―コチラヘオイデ― (大丈夫、苦しみは一瞬だ) 3.触れてみたり (雑渡尊奈門) 『忍さん…その血』 「ん?あぁ、怖いかい?」 『いえ、別に。そうじゃなくて、珍しいですね、忍さんがそんなに血を浴びるなんて』 「もしかしたら私のかも知れないよ?」 『だったら今頃倒れてますよね』 「あはは、そうだねぇ。何だか久しぶりに“死”というものに触れてみたくなったもんだからね、こうして触れてみたんだ」 『死…ですか?』 「うん、そう」 『で、どうでした?』 「何もなかったよ」 『は?』 (ただ何も無い空間に触れただけだからね) 4.慎ましやかな絶望を (諸泉尊奈門) あ、こんにちは。私ですか?名乗る程の者ではありませんよ。ただちょっと、我々の上の者が機嫌悪くてですねぇ…今回はその者に代わって私が来たんです。ほら、痛いのは誰だって嫌でしょう?だから安心してください。今日は特別に、私の良心で、貴方を苦しまずに殺して差し上げます。 あれ?嬉しくないんですか? (それとも、殺されないって希望でも持っちゃいました?) 5.困ってください (鉢屋三郎) 以上、全て鉢屋三郎がお送りしました。 さて、ここまで騙されて尚、貴方は私の言葉を信じますか? 正解…?答え合わせは彼岸での暇潰しにでもしてください。 (では、さようなら) 《自作》 |