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【 人間万事塞翁が馬 】
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ダラダラと校内見学から戻れば、昨日の続きの係決めだとか連絡事項だとか配布物だとか、
相変わらず和泉にいいようにコキ使われてたら(くっそ!)チャイムが鳴った。

この後は委員会での顔合わせがあるだけなので今日はもう放課となる。

「んじゃ〜教室はそれぞれ今言ったところな?さっき見学行って案内してもらったばっかりなんだから
迷子になって遅刻とかすんなよ〜!それじゃー解散!また来週〜!」

和泉のシマらない号令で我がクラスは放課となった。
あー、委員会入りを逃れたやつらが恨めしい!帰りたい!めんどくさい!

「はー行きたくないけど行くか」

「おー大介。お疲れさん。もう行くのか?」

俺がそういえばジロリとした視線を向けられ、そのまま大介はん、と小さく頷いた。

「?何だよ?なんかした?」

なぜだか不機嫌そうな大介はまたジロリとこちらに視線を向ける、が何も言わない。

「だからなんだよ。さっきからさ。気持ち悪いな」

「ちょ、気持ち悪いは無いだろ」

仮にも女だろ、ひでー奴だな、なんてブツブツ言いだした大介。

「・・・んで?なにそんなジロジロ見てくるわけ?気持ち悪いよ」

「お前!わざわざもう一回言うなよ!!」

「あーハイハイ。だからなんなんだって聞いてんだろ?まあ言わないならそれでいいよ」

俺ははあ、とため息をつくと先に大介に背を向けて歩き出そうとした。

「・・・何も言わないのはお前の方だろ」

「は?何が」

なんだ、俺が一体大介に何を言っていないというのだ?

「わからねーって顔してんじゃねーよ!!」

おう、バレている。

「だーもう!!昨日からお前はさ!!昨日からってゆーか出会ったのが昨日なんだけどさ!!」

「・・・おう、どうした。落ち着け」

「落ち着けじゃねーよ!!昨日から俺に言っていないことがいろいろあるだろうが!!」

はあ。そんなことあったっけ?

「えーと。なに?なんかいろいろ全部大介に言わないといけないもんなの?」

大介が一瞬言葉につまる。

「・・・俺は。お前のこといいやつだと思って、仲良くなりたいと思ってるのに、お前は何も話してくれない」

ぶすくれた顔をする大介を見て俺は思った。

コイツ、こんなキャラなの?めんどくせー(ヒドイ?

俺は再びため息をついて大介の目を正面から見据えた。

「大介のはさ、仲良くなりたいってゆーかさ、
なんか思い通りにいってなくてイライラしてるだけなんじゃないの?」

俺は真っすぐ大介の目を見つめて静かに言った。大介の瞳が揺らぐ。

「からかって遊びたいだけなら他を当たれ。
ほんとーに仲良くしたいとか、そういうことを思ってくれてんならそれなりの誠意を見せろ」

そう。きっと大介は周りからちやほやされて、甘やかされて育ったのだろう。
それにきっと見た目もいいから割と何でも思い通りにやりたいことをやってきたのではないだろうか?

「・・・なーんてね!オンナノコで遊んじゃいけないんだよーん」

元オトコなんてのも混ざってるかもしれないからね!ハハッ!

それにしても、数週間前までは小学生(!)だというのに・・・なかなか恐ろしい世の中だよね。

「ほら、とりあえず委員会行くぞ?」

俺は俯いたまま黙ってしまった大介の腕を仕方なく引いて委員会が行われる教室へと向かった。


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あきゅろす。
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