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【 人間万事塞翁が馬 】
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勢いよく開けられたドアに驚きそちらに目をやれば、
そこには明らかに制服ではないスーツを着た若い男の人が立っていた。

キャラじゃなくてよかった。

担任だろうか?それにしては来るのが少し早くないだろうか?

ふとその男と目が合った。
すると男はホッとした表情を見せ、こちらの方にやってきた。

「君が北川さんかな?」

「はい、そうですけど」

そう返せばさっきよりも大分ホッとした表情になった。

なんだ。誰だ。何の用だ。

「あー、急で悪い。ちょっとついてきてくれるか?」

「センセイ?ですか?」

びっくりする俺をよそに、大介が男に話しかけた。
あ、笑顔だけどさ。目が笑ってなくね?不審者扱いか?ちょっと怖ぇーよ。

「あ、ああ!悪い。俺はE組担任の和泉だ。急で悪いんだがちょっと来てくれねーか?」

少し申し訳なさそうに、でも慌てた様子でそういう和泉を見て、なんだかよく分からないがハァ、と気のない返事をして俺は立ち上がった。

悪いな、そう言って歩き出した和泉の後を追う。

ふと気づいて再び振り返ると、大介とばっちり目があった。

「ごめんよ大介、また後で」

そういうと大介はまた驚いた表情を見せた後で笑って片手をあげた。

・・・くそう、行動までサワヤカなイケメンとは。

ちょっとした敗北感を覚えつつ、俺は和泉という担任の後に続いた。


向かった先は職員室だった。


「悪いな」

いえ、そう返せば、ちょっと待ってくれよ、と今度は慌てて机の上をゴソゴソしだした。

・・・言いたくはないが、机の上が汚い。書類やら教科書やらが山積みになっているではないか。
朝っぱらから呼び出すほどの用件ならもっと分かりやすいところに置いておくとかしとこーよ。

「えーとどこやったかなー」

あれー?とかないなー、とか。まだゴソゴソと何かを探している和泉に痺れを切らして声をかける。

「先生、御用件は?」

言いきる前にあった!!と和泉の声が聞こえた。
と思いきや目の前に差し出されるソレ。

「?なんですか、コレ」

差し出されれば受け取るしかない。白い封筒。

「あのな、言うの遅くなって悪いんだけどさ。今日の式、新入生代表はお前だ、北川」

「は?」

いやいやいや、聞いてねーよ。

「えと、急に言われても困るんですけど」

「悪いけど、急なのはしょうがない。大体こんなもんだ」

「ちょ、」

オイコラ、と言いたくなるのを何とかこらえる。

「入試で一位だった人には新入生代表の挨拶という名誉が与えられる!」

得意げに、そして誇らしげにそう言われても。
俺にとっては名誉どころか迷惑でしかない。

しかも入試とか。受けた記憶ねーよ?

「まあ名前呼ばれたら大きな声で返事して、ステージに上がってマイクに向かってこの原稿読んでくれたらいいからさ!」

よろしく頼むな!そう言って笑った和泉の爽やかさが、なんともイラついたのはしょうがないと言えよう。

入試なんてもちろん受けてなどいない。

でも頭は前のままだし、元々頭は、まあ自分で言うのはアレだが、まあよかったんだコレが。
それがトリップの際にそのまま反映されてしまった、と言ったところか。

そりゃー小学校を卒業したばかりのお子様たちに負ける気はしないけどさ。

そこら辺は少し融通効かせといてよね。何とかいう名前の担当さんよ。

あ、ついでに言っておくと遥香は赤点要員な。テスト前はいつも俺に泣きついてきていた。羽苗は頭がいいのにね。

「ほら、じゃあとりあえず教室戻るぞ」

そういうとさっさと立ちあがって歩き出す和泉。(勝手な奴だな)

一旦教室で短いHRを終えた後で大講堂に移動、そこで式があるらしい。

俺は気付かれないようにため息つくと和泉の後に続いた。


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