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緊張が走る。


高鳴る自分の鼓動と、頬に集まる熱。


目の前のリヴァイは、切れ長の目を伏せている。


私は緊張して、彼の口から出る言葉を待っていた。


胸が狭まって、苦しい。


そしてついに、彼が口を開いた――。











「……クソッ、負けだ」


その言葉に、私はガッツポーズをする。

リヴァイは舌打ちをし、手に持っていたカードを投げ捨てた。

先に勝ち抜いていたハンジが、グラスに並々とワインを注ぐ。



「さあリヴァイ! グイッといこうじゃあないか!!」



一気! 一気! と、私とハンジは彼をまくし立てる。

リヴァイはそんな私達を横目で見ると、それはもう男らしく飲み干した。

彼の頬が、ほんのり色付いている。

かくいう私も、頬にかなりの熱が集まっていた。

ハンジは顔全体が真っ赤だ。



「よーし! 次のランウドいこう!」



お酒のおかげで、だいぶハイテンションな私の声が部屋に響く。

生活感のないような整頓された部屋で、飲み出して早3時間。

いつの間にか始まったカード勝負は、回数と飲酒量が増すごとに盛り上がりを見せていった。

床に散らばるカードをかき集め、負けた人がカードを切るんだよ、と言ってリヴァイに渡す。

彼は座った目で睨んでくるけど、しぶしぶカードを切り出した。

今に至っては彼に睨まれても全く怖くない。



「……おい、てめぇここがどこだか分かってんだろうなクソメガネ」



慣れた手つきでカードを切りながら、何かに気付いたリヴァイはハンジに言った。

ハンジを見ると、彼女は空いたボトルを並べている。

そして手は止めず、ヘラッと笑いながら答えた。



「どこってそりゃあ、潔癖症のリヴァイさんのお部屋ですよ」

「分かってんなら汚すな」

「分かってるから、こうやって空いたボトルを並べてるんじゃないか。ちゃんと秩序良く」

「一列に並べるな一列に。袋に入れておかねぇと削ぐぞ」

「あはははっ! リヴァイの口癖出ました!!」

「てめぇ…」



アルコールで理性を失いかけているハンジは本気で楽しんでいるし、リヴァイは本気で怒り出しそうだ。

それもそうだろう。

何故なら、ボトルが空くたびリヴァイが袋にまとめていたものを、ハンジがわざわざ出して並べているのだから。

かろうじて残っている私の理性が、二人を止めに入る。



「まあまあリヴァイ。ほらハンジ、一緒に袋に戻そう」



そうハンジを促し、ボトルを片付ける。

リヴァイは本日何度目かの舌打ちをした後、カードを切る手を速めた。

空ボトルを片付けながら、それにしてもずいぶん飲んだな、と実感する。

この3時間でかなりの量が空になった。

それもそのはず、始まったカード勝負は、負けた人が一気するという仕組みになっていた。

おかげでボトルの空くスピードは早く、さすがの酒豪達も酔いが回る。



「それにしても、エルヴィン、遅くないかい?」



若干呂律の回っていないハンジが言った。

買い物の後エルヴィンもこの飲み会に誘い(遠慮しいが表に出そうになったけど頑張った)、仕事が終わり次第参加するという返事をもらった。

やはり多忙な彼は、まだ仕事が終わらないらしい。



「そのうち来るだろ。続きやるぞ」



リヴァイはカードを配る。

最初はリヴァイの勝ち星が続いたけれど、酔って頭が回らなくなってきたのか、3人が互いに良い勝負になってきた。

配られた手元のカードを見る。

あまりいいカードが無い。

まさか、リヴァイの策略だろうか。

思わずそう思ってしまいそうなカード揃いだけど、それを悟られまいと顔を引き締め、第何ラウンドかが始まった。













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あきゅろす。
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