一周年記念小説
「多喜ちゃんっ!!休み!休みもぎ取ったよ〜」
バイト帰り、タワレコでCDを物色していたらポケットの中の携帯が振動した。よく相手も確認せず出るといきなり冒頭の叫び(と言っても過言ではないだろう)が
木霊する。
「多喜ちゃん!聞いてる?明日!空いてるよね?もう奇跡!絶対無理だって思ってたんだけど、りゅーが熱出して撮影延期決定!」
りゅーには悪いけどほんと嬉しい!神様有難う! と異様なテンションで一人盛り上がる恩田について行けずとりあえず“あぁ”とか“そう”とか適当な相槌をう
つ。
「明日だよ?すごくない?もう嬉しすぎていてもたってもいらんなくて」
「明日晩飯の約束してただろ?」
「あぁ、それはもちろん………もしかして多喜ちゃん…」
「何?」
「明日が何の日か覚えてない?」
これが漫画の1コマならギクッと古典的な擬音を必要とする場面だ。
明日、明日と連呼する恩田にもしかしてと俺の脳内カレンダーを捲り続けたが恩田の誕生日はもう少し先だしそもそも俺の脳内カレンダーは恩田のそれとはだい
ぶ違う。
以前「今日は初ちゅー記念日」と言われた日には思わず「乙女かっ!」と突っ込んでしまった。
ん、待てよ、あの衝撃の初ちゅー記念日から少し経つ、ということは………
「あ〜…忘れるわけ、ねぇじゃん」
「怪しいなぁ…」
言外に何の日か言ってみろという間を感じ、はぁと溜め息を吐いて小声で呟いた。
「一年間お付き合い有難うございます」
「正解!」
所謂お付き合い一周年というやつ。
やっぱりこいつ乙女だ。
「りゅーに話したら少女脳とか言ってくんの。失礼」
でも熱出してくれたから許すと終始テンションの高い恩田の声をBGMに一年前を振り返る。
とりあえず大野さんに電話してシフト代わってもらおう。
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実はすっかり記念日を失念してバイトをいれてた多喜という話(え)
こりゃ恩田より多喜の方が百倍良い男な気がしますね。
恩田の女々しさにどうしようかと思いつつ勢いであげちゃえっ!
joshua一周年記念小説。
感謝の気持ちを込めて!
20090920
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