季節外れの桜、儚く散る君 1 (ラスティ)
『俺、春が1番好きだな…』
弱々しく微笑んだ君と、バックの綺麗に儚く散る桜は一生忘れられないだろう。
病弱な****はいつもベットに伏せっていた。
最近では病室から出ないことの方が、多いんじゃないかとさえ思う。
お見舞いの後はよく熱を出したりと、事態は深刻らしい。
「よっ、生きてるか?」
軽くノックをした後に、そっとスライド式のドアを開ける。
「生きてるよ。そろそろ冗談じゃなくなりそうだけど、」
苦笑を漏らしつつ、俺を優しく出迎えてくれた。
こいつは、少しも辛そうな顔をしない。
心配かけたくないとかの類だろう。
「今日は、具合良さそうだな?」
「いつも俺は元気だけど?」
うそつけ、と心の中で呟いた。
本当に具合が悪くても、俺達が帰るまでは我慢している。
本人はそんな俺に気付いたのか、本当だぞと、釘を刺した。
「まぁまぁ、それはいいとして……内緒でお前の好きな菓子持ってきてやった。」
「マジで!!よくやった、ラスティ!」
勢いよく俺の手からスティック菓子を奪いとり、袋を開けた。
俺がお見舞いに来る度に持ってくるのを、もう予想済みらしい。
まぁ毎回馬鹿みたいに持ってくる俺は、こいつの笑顔がみたいからである。
「****さーん、入りますよ。」
「えっ…」
菓子頬張っている時に、タイミング悪く看護士さんが入って来る。
勿論隠す暇もなく、時既に遅し。
「なっ…勝手に食べちゃ駄目って、この前体調崩したクセに……」
「それは秘密って…!」
初めて知った。
俺のせいで体調崩してたりしたのか、
こいつ……俺がひそかに喜んでるの知ってて毎回………
「それと、お友達のラスティさん…ちょっといいかしら?」
「あ、はい!」
菓子持ってきたの注意されるのだと思い、黙って看護士さんについて病室を出た。
「あの、少し話し難いのだがね…」
予想外に医者のところまで連れていかれ少々焦ったが、どうやら注意されるのとは違うみたいだ。
やばい、緊張してきた。
「****、"余命半ヶ月弱"なんだ…。」
マヌケな顔を戻せないまま、先生の話しを聞く。
「一応、君には言っておいた方がいいと思って……それで、なるべくいつも通りに接してやってほしいんだ。」
苦笑を漏らした先生に、返す言葉は見つからない。
看護士さんの方を見ると切なそうななんとも言えない表情を浮かべていた。
「あの…医療技術とか、今凄いですよね?それでも…」
「生れつきの病気なんだ。治る可能性は0に近い。」
きっぱりと告げられ、本当に返す言葉は見つからずにわかりましたと言って出て行った。
そんなに悪かったなんて、知らなかった。
080602
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