これ以上の幸福はない

言葉と言うモノは難しい。

同じ言葉でも、意味は沢山あるのだから。



俺だってそこまで鈍感じゃない。

謙人の言いたいことはよく分かる。



謙人の言う好きは『恋愛』の好き。

俺が言った好きは『友情』の好き。

だけど謙人は、その言葉を嘘だと言った。




───嘘、本当。


一体どっちが本当なのか。








「俺、好きだよ。」



でも本当の好きは前者。

恋愛感情の方。



「じゃ、付き合うか。」



ニヤリと笑った謙人の顔は格好良くて、考えもせず頷いた。




家族と友達が居て。

好きな人が傍に居て。

それだけでいい。




─これ以上の幸せはない




そう心から思った。





(SIDE:涼介 END)

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