俺はただ、純粋にこの景色を綺麗だと思った。


その感動的な夜空を見て、自然と笑みが零れる。


その笑顔と比例するように涙が溢れ出した。




笑いながら泣くなんて…

…俺って可笑しいよ。

ヘンだよね。

悲しくないのに何で涙が流れ出るのかな‥?

何で胸が痛いのかな?



今度は自分に対してまた少し笑った。



─この涙は夜空が綺麗だから流れてるんだよ……けして悲しいからなんかじゃない。



そう強がっている俺はただ夜空を見つめ続けた。

この時の俺は、ツラそうな表情でも、ここ最近で一番穏やかな表情をしていたと思う。



愛する人と、この感動を分かち合えたら─…

きっと夜空がもっと輝いて見えるのに。



─刹那の想いは、虚しく夜空に溶けていった。







「おやすみ。」



謙人。



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