これ以上の夜空はない


「、んー……。」



目覚めると部屋は真っ暗だった。

いつの間に寝てしまったのかと思いながら目を擦る。

いつだったか謙人に、この目を擦る仕草が可愛いと言われた事があった。

もう随分昔の話だけど…。


少し起き上がって時計に目を向ける。

時刻は夜中の2時を指していた。



「‥ま、ぶしぃ…」



窓から漏れる月明かりが少し眩しい。

おそらくこれが原因で起きてしまったのだと思いベッドから降りた。

月明かりをカーテンで隠すために、トボトボとゆっくりした速度で窓へ近付いていく。







「…あ、

綺麗……。今日は満月かな?」



学園は面積が広い分、自然に囲まれた山の中に建っている。

だから都会で見るよりも、星が煌びやかに光って見えた。




綺麗な夜空を見上げ、微笑む。

普段から夜空を見る事なんてあまりないものだから、大袈裟に…まるで、初めて見るもののように感じた。


それにしても今頃気が付くなんて……。


ニ年間も学園に居たのに、今までこの綺麗な景色に気が付かなかっただなんて…俺は馬鹿だ。


でも。


気付く事が出来て良かった。



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あきゅろす。
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