○
『友達以上恋人未満』の関係。
それも長く続かなかった。
─もう無理だ。
一度考えると、それ以外は考えられない。
初めこそ涼介の好意に気付いていないフリをしていた。
しかし嫌でも分かる。
俺に伝わってくる。
─好き。好きだよ。
言葉がなくても伝わってくる涼介の気持ち。
涼介の一つ一つの行動にさえも意識がいく。
昔からの癖で頭を撫でると頬を赤らめたり、笑いかけると嬉しそうにはにかんで笑う。
全身で俺が好きだという涼介の姿。
もう無理だと思った。
俺には耐えられない。
一度思うと止まらなくなって、段々と涼介の存在を鬱陶しく思うようになった。
同じ学校。
同じクラス。
寮の部屋まで同じ。
何もかもが一緒。
──うぜぇ。
もう、止まらない。
あんなに大切にしていたモノを、自ら壊してしまおうと思った。
付き合おうと言ったのは、軽い気持ち。
感情なんて全くなくて、涼介の気持ちとかもうどうでも良かった。
『付き合って舞い上がらせて、最後に突き落とす』
俺が考えた最高のシナリオ。
そうやって俺達の関係を終わらせようと考えた。
──簡単な事だな‥。
関係なんて幾らでも壊すことが出来る。
そう思い人間なんて所詮こんなものなのかと段落した。
あんなに大切だった涼介との関係を、自ら壊そうとしているのだから‥。
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