○
──嘘、本当
一体どちらが本当で、彼か自分どちらを信じれば良いんだろう。
「俺も、すきだよっ…謙人の事‥好き、」
あぁ、だけど信じるよ。
嘘だって嬉しいんだ。
彼の口から出てくる言葉が決して嘘だとしても、俺は謙人が好きだから…。
謙人以上に好きな人なんて居ないんだから…。
だから今度は信じ込ませてよ。
きっと馬鹿な俺なら、嘘なんて簡単に信じると思うよ‥。
ねぇ、嘘だっていいから、俺が信じ込む程の愛が欲しい…─。
顔を上げたら目が合った。
謙人の目には涙が溢れていて、珍しいな…と思った。
「りょ、すけ…ごめん。信じてくれて…好きになってくれて、ありがとっ…。」
歪んだ視界に謙人の泣き顔を見た。
泣き顔さえも格好良いなんてズルい‥。
って思ったけど、今はちょっと格好悪いかな。
鼻水出てるし、男前が台無し。
それが可笑しくて、無意識に笑った。
謙人の前で、
俺は久しぶりに笑った。
−END−
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