○
だけど助けて欲しかった。
一番辛かった時に一緒に居て欲しかった。
なのにどうして?
どうして今頃そんな事言うの?
どうして今ここに謙人は居るの?
分かんないよ。
何にも分かんないよ…
「なんで今更っ…!!」
言って謙人の体を力の限り押し返して離した。
頭が混乱してきた俺は、その場にうずくまって座り込む。
もう…
いっぱいいっぱいだった。
「なんでっ、なんで今っ…遅いよ、こんなの酷いっ…」
「…ご、めん、俺…好きだって気付いたの‥最近で…。今更かもしれないけど…でも本当に好きで…。またやり直したい。もう浮気なんて馬鹿なこと絶対にしないし、…大切にするから。」
謙人もしゃがんで膝をつくと、座り込んだ俺の肩を掴んできた。
そして説得するように言葉を繋ぐ。
──好きだ。
そんな言葉どうせ嘘だって知ってる。
謙人が俺にくれた最大の愛は、俺達が親友だった頃。
今の俺達にはきっと少しだって愛はないよ…。
「顔上げて俺の目見ろよ…。なぁ、俺は涼介が好きなんだ。信じて欲しい。涼介…」
彼の口から零れる、甘くて苦い言葉。
また信じていいものなのか。
…いや、信じちゃ駄目だ。
だけど…、だけどっ…、
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