これ以上の後悔はない
(SIDE:謙人)
俺は由希の部屋に居た。
本当なら今すぐにでも涼介の所へ行きたいけれど、話があるらしいから行こうにも行けないでいた。
「謙人君…。今から僕が言うこと、信じられないかもしれないけれど…真実だから…受け止めて欲しい、」
辛そうな表情を浮かべ、重苦しい口調で話す由希。
ここに来るまでも哀しげに見える笑顔を浮かべていたし、決して良い話ではないんだろうなぁ‥ととっさに感じた。
「裡君の事なんだけど…」
涼介の話…
そう言えば由希は、俺と涼介が付き合ってた事を知っていた。
その事にも関係しているのかもしれない。
…なんて軽く考えていた俺の耳に、信じられない言葉が届いた。
「裡君…襲われたって…」
「……襲われ、た…?」
涼介が襲われた?
意味が分からない。
それになんで由希がそんな事を?
襲われたって?
誰に?誰が?
「なんの冗談…、意味分かんねぇよ。」
眉を寄せ睨みながら言うと、由希は瞳を潤ませ俯いてしまった。
伸ばしすぎてデロデロになったカーディガンで目元を擦り、そのまま手を口元に持っていく。
そうやって泣くのを我慢している様子を見て、俺自身の緊張感と不安感を煽られた。
「僕は今朝知ったんだっ…僕の幼馴染みが…僕と謙人君が関係を持ってるのに嫉妬、したらしくてっ…、…それでっ……」
「………それで、…どうしたんだよ…」
無意識に声が低くなる。
厭な予感がした。
その先を聞きてしまったら何かが崩れるような…不吉な何か。
「うち、くんを…無理矢理っ、」
でも
聞かないといけなくて…
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