山田行道の孤立

山田はこの一年半で何人も彼女を作った。

殆どが山田の一目惚れで最初は確かに好きだった。

しかし時間が経つと冷めていき、彼女の熱が一番高い時に振るという残酷な行為を繰り返していた。

だが不思議な事に歴代の彼女達は傷付きながらも山田を責めず、冷める事のない熱を陰ながら山田に抱き続けていた。



だが、全員が全員そうな訳ではない。



山田が付き合っていた二人前の彼女はクラスメートで、その子は傷ついた意図を友人に相談したのだ。

それが日高真美だった。

山田にしてみれば運が悪く、次に付き合った彼女もまた日高の友達で、二人が別れたその瞬間から『山田行道は風紀を乱す危険人物』として目を付けられてしまった訳だ。

用は今の状況を作った当事者は山田でもあり、日高真美でもあった。


「もう何もしねぇよ。」

「…どうだか。」

「信用ならないわね。」


降参とばかりに山田は両手を上げてみせたが二人の睨みがキツくなるだけだった。

どうすれば良いんだか…山田は敵だらけのこの状況にナーバスになる。

誰が今の自分を信用するだろう。

山田は再びふてくされて机に突っ伏した。






─ 学校なんて燃えちまえ。



物騒な事を考え目を瞑る。

山田行道の孤立化は進む一方だった。




4/36ページ


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!