15
(side:金井)

「金井…。」

「なに?」

「俺感動で言葉が出ねーよ…。」


卒業式も終わり、僕は北原君と一緒に校舎の外に出てきた。


「金井の両親美形過ぎるだろ…。」

「まぁ。お世話が上手な子ねー。ふふ、」

「あ…すいません。」


北原君は恥ずかしそうに頭を下げた。

確かに僕の両親は年齢の割に若いとよく褒められる。

僕は何だか自分の事のように嬉しくなって、笑ってしまった。


「良いお友達が出来たのねー。よく話は聞いていたけど…また今度家に遊びにきて頂戴ね。」

「はい!是非!」


北原君が家に来るのか…それは楽しみだな。

僕は卒業式だと言うのに嬉しくなって笑っていた。


「そうだ!最後に金井と写真撮りたい!」

「えっ…。」

「じゃあ私が撮るわ。並んで並んで?」


僕は北原君と並んで写真を何枚か撮った。

写真なんて照れくさい…。

でも最後だし嬉しかった。


「金井、北原。一緒に写真撮らないか?」


振り向くと犀川君が居た。

ちょっと驚いたけど、素直に嬉しかった。

僕と北原君は笑って三人で並ぶ。


「ありがとうな。良い記念になった。次は同窓会で会おう。」

「うん!犀川君元気でね!」


犀川君は笑って他のクラスメートの所へ行ってしまった。

ポンポンと肩を叩かれる。

横を見れば今度は小西君が居た。


「俺も写真ー!」

「ふふ、良いよ。」

「俺ら人気者じゃん。」


顔を見合わせて笑う。

凄く楽しかった。


「俺一生大切にするわ…。てかまた会おうぜ三人で。いつか飲みに行きたいなー!」

「勿論小西の奢りで?」

「金井の分しか奢んねーよ!」


僕の分は奢ってくれるんだ、なんて笑う。

暫く話していると小西君は後輩に呼ばれて去っていった。


「あの…金井くん。写真だけ良いかな?」

「え…?」

「急でごめん。最後の思い出に…。」


話し掛けてきたのは以前クラスが同じだった人で、でも話したのは今が初めてだった。

戸惑っているとお母さんが割り込んできて写真を撮る事になった。


「ありがとう…!一生この写真大切にする!金井くん元気でね!」

「うん…。」

「金井…俺らとも写真良いかな…?」

「え…?」

「私が撮るわねー。」


それから何故か、今までのクラスメートや見た事もないような人にも写真を求められた。

何故か皆僕をチラチラと見ている事に気が付いて、一つ撮影が終われば誰かが話し掛けてきた。


「金井人気恐ろしい…頑張れ。」

「北原くん…。」

「だから前に言っただろ?金井と仲良くしたい奴は同学年にいっぱい居るんだよ。俺もう帰るわ、親からメールきたし。じゃあまたな。連絡する。」

「えー!」


僕が叫ぶと笑いながら本当に帰ってしまった。

薄情者!なんて叫んでも帰ってこない。

未だに撮影会は続いていた。




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