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「はぁ〜ダルい…。」
「小西君大丈夫?」
「うんにゃ。ただ面倒なだけ!」
現在掃除当番の真っ最中。
小西君はとても良い笑顔でピースした。
「小西君って友達多いよね。」
「そうか?まぁ、部活やってるしな。」
「それにしても多いよー。」
最近小西君と話す機会が増えた気がする。
特に掃除当番の時はよく話すようになった。
最初なんて北原君が居ないと不安だったのに、今では自然と会話をしていて…その成長が嬉しかった。
「やっぱり友達を作るのにコツとかあるの?」
「え〜そうだなぁ、とりあえず挨拶?次にとことん話す!」
「話す…。」
「まぁ、手っ取り早く仲良くなるには胸のうちを暴露する事だな!」
小西君は箒にまたがってそう言った。
胸のうち…つまりどういう意味だろ?
「例えば自分の秘密とか言っちゃえば向こうは知った気になって心を開いてくれんの。ま、やり過ぎたら口軽って思われるし、そこら辺だけは注意しなきゃだけど。」
「そうなんだ…色々考えてるんだね。」
「人によってだな。でも金井なら大丈夫!無理しなくても友達出来るよ。それに計算尽くで友達作ったって、結局は続かないのが殆どだし…気長にやるのが一番だな!」
なるほど、色々勉強になりました。
小西君は明るくて誰とでも仲が良いから、この話はとても意外だった。
もっと簡単に無条件で友達が居るのかと思ってたけど…。
実は小西君にも頑張ってる部分があったんだなって分かる。
「ちなみに小西君の秘密は?せっかくだし教えてよ。」
「んーそうきたか。」
「友達、だよね?」
「っ!もちろん!!あ〜…しゃーねーなぁ…天使の頼みなら言うしかねーじゃん…。」
小西君はふぅ…と溜め息を吐いて、窓の外を見た。
黄昏るようにポーズなんかも決めちゃってる。
「俺実はな…?」
「…うん。」
ドキドキ。
どんな暴露?
「痔なんだ。」
「……その暴露で人の心は開けるの?」
「ごめん!何も思いつかなかった!」
すがるように許しを請い始めた小西君に僕は吹き出す。
小西君は本当に面白い。
今度ドーナツ型のクッションあげようかな?
ホームルーム終了直後、また何かが起こりそうな予感がした。
「金井君をレンタルして良いですか〜?」
それは平村君のたった一言で予感する。
今度は何…?
とても良い笑顔の平村君に苦笑いしてしまった。
「要件は…?」
「ん〜、さっきも言ったけどちょっと用事があって…すぐ終わるよ?」
「金井……俺も行こうか。」
「北原君、別に煮て焼いて食べたりしないから大丈夫〜。」
「らしいから…先に帰ってて。ごめんね?」
心配してくれる北原君には申し訳ないけれど、これは僕の問題なんだ…。
本当は怖いし不安しかない。
それでも僕は平村君と一人で向き合いたかった。
何より…何があっても北原君が友達で居てくれる自信があるし、北原君を信じてる。
それだけで僕は頑張れる気がした。
僕らは北原君と別れて歩き出す。
教室を出る時、一瞬手島君と目が合ってその隣には犀川君と吉沢君も居た。
奇妙だろうね。
僕らが一緒に帰るだなんて。
僕自身も不思議な気分だよ…。
「北原君に何か言った?」
「何かって?」
「やけに心配してた。何か言っただろ。」
平村君は凄く疑い深い。
きっと自分が嘘ばかり吐いてる所為で、人を信用出来ないんだろうな。
「北原君は前から心配性だよ。僕がヘタレだから…。」
「へぇ、どうだか…。」
「今日はやけに疑い深いね?僕より平村君の方が嘘多そうなのに。」
「心外だなー。ここまで本心さらけ出してる人って、本当に金井君しか居ないんだよ?」
どうだか。
同じように疑ってしまう。
どっちもどっちだ。
「それで…用事ってなに?」
「用事?そんな事言ったっけ〜?」
…また、嘘。
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