19枚目

僕はそこから口を閉ざした。

何をどう伝えたら良いのか分からなかった。

平村君が僕と吉沢君の関係を良く思ってない事を言って良いのだろうか。

でも…言ったらきっと平村君が傷付く。

そう思うと言えない。


「俺らの知ってる範囲でアイツらの事決め付けんのは良くねぇよな。でも、気にかける事は出来る。これ以上悪化しないように。もちろん本人には言わねぇし。」


分かってる。

手島君は噂話のような娯楽の為に聞いてる訳じゃないんだから…ー


「平村君は…僕の事を好きだけど、吉沢君と話してる僕は嫌みたい…。」


悩んだ結果…口を開いた。

どうにかなるものならどうにかしたい。

僕だって、苦しい。


「やっぱり…、」

「気付いてたの…?」

「あぁ。好き嫌いは知らねぇが、子供じみた独占欲っつうの?今回の写真も多分それだな。アイツ依存体質なんだわ。好きなもんとか変わんねぇし。」

「そうなんだ…。」


手島君はハァーと溜め息を吐いて頭を押さえ込んだ。


「事故だった可能性は置いといて…今までに嘘を感じた事はある?」

「…んな事言い出したらアイツは嘘だらけだぞ。嘘の塊。」

「え…?」


僕は思わず手島君を見つめた。

嘘の塊。

その言葉に怖くなった。

今まで色んな事を言われてきたけど、最後には僕を好きだと、友達になりたいと言ってくれた平村君。


でも本当に?


信用出来ない疑惑の気持ちが心の隅に引っ掛かっていたからこそ…怖い。




「アイツが自分の本心を言った事は今までに一度もねぇ。」

「っ……、」

「俺にも、吉沢にも。平村は全てを隠してる。隠そうと必死だった。個人的な事を聞くと話を逸らしやがる。周りは天然だの何だの言ってるけど…あれは偽物だ、全部。」


益々疑惑の色が濃くなって気分が悪くなった。


「どうして…それなら手島君は友達でいるの?辛くない?」

「別に…皆気付いてねぇし俺が話さえしなけりゃ平穏に過ごせるだろ。…でも、その平穏が崩れそうなんだよな。」


平村君はその平穏を自らの手で壊してしまったのかな。

それ程までに僕と吉沢君が関わる事が嫌なのかな。


「金井…無理やりに聞いて悪かったな。ちゃんと秘密にするから。それと…もしまた何かあったら教えてくれねぇか?特に平村は何するか分かんねぇし‥。」

「……うん。」


手島君でも予測不可能だなんて僕にはもっと分からない。

これからどうなるんだろうと残りの数ヶ月を思って俯いた。




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