03枚目

「金井?本当に顔色悪いぞ。休むか?」

「…大丈夫だよ。ありがとう。」

「もうちょっとで交代だし無理はすんなよ。」

「うん…。」


北原君と話して少し気分が良くなる。



大丈夫。

昔と違うんだ。

今は友達が居る。



恐怖をかき消すように強く思って…作業を続けた。


「アハハ、吉沢さいこー。」


遠くても聞こえる平村君の笑い声が僕にだけ不気味に聞こえていた。








─ パシャッ パシャ


「やっぱ金井君は絵になるねぇー。」


そんな事ないよ。

何時もならそう答えるけど、何を言っても嫌な返答がくる気がして何も言えなかった。


「金井君って本当綺麗〜。何か美容に気使ってたりする〜?」

「…してないよ。」

「へぇ〜、生まれ持った美貌って訳かぁ。…吉沢もう良くなーい?もう充分撮ったっしょー。」

「いやいや…笑わせろよ。」


次の当番の人と交代しつつ、作業している風な所を撮られている現在。

吉沢君はカメラ担当で、平村君は笑わせる担当らしい。

僕かって笑えるなら笑いたいよ。

吉沢君に迷惑かけたくないし。

以前ならもっと自然に笑えてただろうけど、今は苦笑いさえ出てこなかった。


「はいはい、じゃあ笑顔下さ〜い。」

「投げやりになんな。」

「だって金井君笑わないもん。俺嫌われてるんだー。」

「何故そうなる。ごめんな金井。コイツつまんなくて。」

「いや…僕が笑えないから…ごめんね、迷惑かけて…。」


吉沢君に謝らせるなんて自分が嫌になる。

どうしたら表情筋が緩むんだろ。


「俺も入るわ。ピンで卒アル載りたくねぇし。」

「北原君…。」


助け舟とでも呼ぼうか。

横から肩を組んできた北原君に少しだけ緊張が緩んだ。


「小西、朝のあれ宜しく。」

「…俺の事信じてくれなかった癖に今更、」

「金井と平村の為になるんだぞ。」

「了解っす。」


何で僕と平村君をツーセットにして小西君が動くのか分からない。

前は気にならなかったやり取りが今は心にドロリと不快感を生むものとなっていた。


「着用しやした!どう金井?似合う?」

「フッ…」


─ パシャ


「金井君ようやく笑った〜。コニタン凄いね?」

「へへ、だろー?」

「俺もコニタンみたいに金井君のこと笑わせたかったなぁ…。笑かす係失格だ〜。」

「まだチャンスあるって!あ、じゃあ俺写真撮るから吉沢と金井で撮れよ!」

「……は?」


……は?

吉沢君と同じ反応をしてしまった。

何で僕達?


「吉沢もあんま笑わねぇじゃん。この2人なら笑かす係として燃えね?じゃあ交代なー。」

「マジで…?」


マジですか…。

オロオロする僕を余所に、小西君はカメラを奪い取って吉沢君を僕の隣に無理矢理立たせた。



吉沢君が隣に居る。




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