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つくづくと思う。

文也クンは照れ屋だ。


「あ、暑いな…。」

「そう?」

「今日は天気が良いなー!」

「そうだね。」


会話になんてなってない。

そわそわと落ち着きがない文也クンにこっちまで緊張してきた。


「あいつらの所為で騒がしかったな。」

「ごめんね…。」

「大聖は悪くない…。むしろ勘違いさせて悪かった。」


俺の親衛隊隊長である姫路クン、彼がきっかけでちょっとした騒ぎが起こった。

天野クンに嫉妬してキレちゃって、思い出すのも恥ずかしい。

文也クンに聞かれなかったのだけが救いかな。


「とりあえず何か飲むか。何が良い?」

「じゃあお茶で…、」


ただ、椿クンがした突然の暴露の所為でお互いに気まずい。

何故なら俺も文也クンもずっとその話題を避けてきた。

その微妙な距離が今回の騒ぎの原因でもあった。






「城本クンって好きな人が居るんだって?噂になってるよー。」


高校一年の冬、友人の恋の噂を耳にした。

その時には既に僕と城本クンは生徒会の役員になっていて、二人きりのタイミングで聞いてみた。


「その噂今更だぞ。」

「そうなんだ…俺噂とか好きじゃないから疎いんだよねー。」


アハハ〜なんて笑って誤魔化す。

城本クンはパソコンに視線を向けながら口を開いた。


「俺の想い人は近くに居る人だ。」

「…それって篠山クン?」

「いや。」

「じゃあ椿クン。」

「違う。」

「鳴海会長…、」

「まさか。」


後残ってるのは…

俺は笑うのを止めて城本クンを見た。

いくらなんでも笑えなかった。

まさかそんな事ないよね?


「じゃあ分からないや。」

「……。」


俺は何も聞かなかった事にして誤魔化すように笑った。

これ以上掘り下げるのが怖い。

視線を逸らして書類を見る。

同時に城本クンの顔が上がって、今度はじっくり見られているのが分かった。


「今はそれで良い。」

「……。」

「でも俺はソイツが好きなんだ。」


この部屋ってこんな色だったかなぁなんて思うくらい、知らない空間のようだった。

頭がクラクラして、無言で頷く。

書類を整理しながら目の前の城本クンを盗み見ると、耳を赤くして顔を手で覆っていた。

好きなんだ、俺のことが…。

こっちまで照れてドキドキする。

訳が分からなかった。


「あの…おはよう。」

「っ!?」


突然現れた第三者の声に俺と城本クンはビックリして過剰に反応してしまった。

隣の応接室から副会長の椿クンが何とも言い難い表情を浮かべて出てきた。

この反応…今の会話聞いてたよね?

絶対聞いてたよね!?


「泉川…居たんだな。」

「居たけど何か問題でも?」


城本クンは机に突っ伏して言った。

耳が見たことないくらい真っ赤で、城本クンが照れ屋だと知る。

可愛いな…なんて一瞬でも思って視線を逸らした。




あきゅろす。
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