04

城本様の部屋で僕、城本様、青柳様、篠山君、天野の五人が輪を作った。

そして事情を知らない椿様もただ事じゃない雰囲気が気がかりなようで、一人椅子に腰掛けた。


「まず最初に俺の弁解をさせてくれ。俺と天野は付き合ってない。有り得ない。」

「じゃあ……、天野クンの部屋で何してんの?」

「部屋?なんだそれ。」


城本様が不思議そうに言う。

何、知らばっくれる気?

僕はちゃんとこの目で見たんだから。


「もしてかして…前に俺らが呼び出した時…。」

「あぁ、あれ、あの時ですかね?むしろあれしかないでしょう。」

「どういうこと?」


青柳様が不思議そうに聞いた。

相変わらず顔色は優れない。

それはきっと僕もそう。

早く…早く、さっきのは嘘だった、八つ当たりしただけなんだって言って欲しい。

城本様と天野の関係なんてどうでも良いよ。


「数日前に僕の部屋で篠山君とお話してたんです。」

「で、ノリで城本呼ぼうってなって…。」

「三人で恋バナしてました。」


何その真相…と言うのが率直な感想だった。

じゃあ僕が見た時点であの部屋には篠山君も居たってこと?

まさか…それにしても、何でこの三人が…可笑しい、変だ。


「何それ、」

「実はな…こいつら最近仲良くなったみたいで…うん。俺は巻き込まれただけなんだ。だから天野とは関係なんてない。」

「ホントに?」

「あぁ、一切ないぞ。」

「っ……!!」


青柳様は顔を両手で覆った。

そして爆発したように話し出す。


「俺バカだ!本当に恥ずかしい!天野クンごめんね?さっきはあんな酷いこと言って…俺、本当はあんな事言うつもりなかったんだ!ごめん!お願いだから嫌いにならないでね!」


さっきの暴言を撤回した。

良かった、良かった!

僕は心底ホッとした。

やっぱり青柳様はあんな事を言うような人ではなかった。

ただ虫の居所が悪くて、思わず僕らに当たっちゃっただけなんだ。


「青柳君…凄い安心しました。2つの意味で。」

「2つ…?」

「ひとつは単純にそれほど嫌われてなかってことです。もうひとつは……嫉妬してるんだなぁって。」

「天野クン!?」


天野が笑い出すと青柳様の顔に血の気が戻ってきた。

分かるくらいに赤い。

何これ…?

嫉妬って…。

やっぱり青柳様は天野のことを…?


「天野…、もしかしてそうなのか…?」

「そうって言うのはなんでしょう。」

「いや、想い人的な話で…」

「篠山クン!それ気にしなくて良いから忘れて!深く追求する必要ないから!」

「うん分かった…やっぱりそうか…。俺てっきり田代フラグかと勘違いしてたけど…謎が全て解けた。」


篠山君も気がついたらしい。

すると青柳様が顔を真っ赤にして慌てだした。

そんなの肯定してるのと同じだ。

青柳様は天野が好きなんだって…。



また涙が溢れ出した。

心が痛い。

フラフラする。

嫌だ、嫌だ。

なんで天野ばっかり。

だから天野が嫌いなんだ!


「姫路君?大丈夫ですか?」




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