01

つくづくと思う。

面倒なことが多すぎる。

例えば親衛隊の事とか。

例えば生徒会の事とか。

この学園には面倒な奴らが凄く多い。


「夢野隊長!」

「賀川、隊長は止めてくれよ。普通に夢野でいいから。」

「でも隊長だし…。」

「ハァ…それで?」


パタパタ走ってきたのは、生徒会副会長の親衛隊で副隊長の位置にいる賀川だった。

実際に俺の立場は隊長な訳で、賀川がそう呼びたい気持ちをある程度理解出来るけど…。

まず同級生だし。

しかもクラスメート。

こんな事を考えて、一番最初に思い浮かぶのは天野彼方だった。

同級生相手に敬語だなんてどうかと思う。


「田代のやつがまた椿さんに接近してたんだ。」

「へぇ…まぁ良いんじゃない?友達増えただけだし、邪魔する必要もないだろー。」

「たいちょ〜…椿さんが心配じゃないの?」


賀川は困り眉を更に下げて困った顔をした。


「何かあった時はその時に対処すれば良いって。別に怪我させられた訳でもないし。」

「っ…た、隊長…、」


困った顔に出来た眉間の皺をツンとつついて顔を覗き込む。

面白いくらい照れた顔をする賀川の頭を撫でた。


「話はそれだけ?」

「うん…何だか誤魔化された気がする…と言うか誤魔化したよね。」

「バレたか。」


恨めしげに睨まれたので笑っておいた。

皆気がつかないけど賀川相手じゃ流石にバレる。

俺って顔近付けたり、さり気ないボディタッチするのが癖なんだよな。

それを誤魔化したりお願いする時にも使うんだけど…いい加減に気付かれたか。


「僕は良いんだ。柚希さんにさえ迷惑が掛からなければね。」

「相変わらず柚希好きだね〜。」

「柚希さん!」

「はいはい。柚希、さん、ね。」


ちなみに賀川は副会長の泉川椿ではなく、風紀副委員長の泉川柚希を慕っている。

なぜなら、風紀所属の人に限定して親衛隊を作れない決まりがあるからだ。

つまり俺の所属する親衛隊は賀川のような柚希派も存在しており、学園で二番目を誇る大きい隊だった。

形としては泉川椿の親衛隊…ということだけど、正確には泉川兄弟の親衛隊と言った方が良いだろう。

そして。

この隊よりも更に大きいのは、天野彼方率いる生徒会長の隊。

会長人気は勿論、人気ランキングで会長を抜いてトップに選ばれたこともある天野彼方の人望で人が増えた。

学園のツートップが揃えば人が集まるのは自然なもので、その人気は今でも健在だった。


「それより僕が一番心配なのは隊員の管理だよ。天野隊長は制裁をやめろって簡単に言うけど、正直無茶な話じゃないか。」

「そうだな…。」


確かに天野は簡単に言い過ぎた。

今まで染み付いてきた学園の掟に田代が背いたからこそ今のこの状況があるのに…。

それを制裁規制という言葉のみで天野まで背こうとするんだから、納得出来る人なんて知れてる。


「それに結局、自分の隊だってまともに纏めれてなかった訳だし…よく言うよね。幾ら顔が綺麗でも本当に口だけだよ、あの人。」

「賀川言い過ぎ。」

「分かってるよ…。それでもただえさえピリピリしてるのに、更にそれを抑えろなんて…自分が出来てない事を上から物言ってる感じが腹立つ。」


天野への怒りが沸々と沸いてきたらしく賀川の愚痴がヒートアップしてきた。

落ち着けよー…。

仕方がないのでガッと抱き付いてみた。




あきゅろす。
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