07


「田代君、本当にごめんなさい。親衛隊が君にしたことは許される事ではありません。でも、こんな彼らでも僕の仲間です。」

「その仲間を利用して俺にこんなことを…!!」

「利用はしていません、本当に行き違いなんです。だからこそ僕は彼らを守りたいし、君が怒るのは仕方がないとは思うけれど…どうか許して下さい。」


天野は頭を下げた。沈黙が流れる中、刈屋君が呟いた。


「彼方が頭下げる事はないだろ…本当に彼方は何もしてないんだから。」

「本当か…?じゃあなんでこいつらは…」

「連絡ミスです。田代君、彼らには今後の指導をしっかりとしますので、今回は穏便にお願いします。」

「連絡ミスなんてあるのかよ!」

「はい…"僕ら"も詳しい事は分かりません。」


天野は今、僕らと言った。

つまりどこでどうなって指示が間違ったのか…原因は誰にも分からないと言ったのだ。

天野は今、僕らを守ろうとしている。衝動的で浅はかで…こんなにも馬鹿な僕を救おうとしていた。


「君達立って。ほら、松坂君、真木君。…君らも立って。」


少し厳しい声で言われる。


「姫路君も。」


腕を引っ張られて強制的に立つ。

そして椅子の後ろまで移動させられた。


「な、何?」


皆で天野を見ると、見た事がないくらい冷たい目で僕らを見た。

皆反射的に椅子を直して後ろに立つ。


「座って。」


天野は松坂君と僕の腕を掴んだまま床に正座して座った。


「君らも座って。早く。」


あまりにも冷たい声に鼓動が早くなる。

こんな天野を僕は知らない。純粋に怖かった。


「田代君、今回の事は申し訳ありませんでした。今後同じことが起こらないよう反省して指導していきます。」


なんと…あの天野彼方が土下座をしたのだ。

僕は色々ビックリしすぎて更に声が出なくなる。


「君らも土下座。早く。」


言われて皆で土下座をした。

それと同時に天野が頭を上げる気配がして、もう良いのかと僕も頭を上げようとしたら…。


「謝る気あります?床を掃除するぐらいの気持ちで床に額をつけるのが常識でしょう。ねぇ。」


ガッと頭を押さえつけられた。ビックリしたのと痛いのとで混乱する。

隣の松坂君からもイタッと声が上がって、頭を押さえつけている人物が天野だと分かった。


「君らもちゃんと土下座しましょうね。」

「は、はい!すいません!」


真木君や他5名の声が聞こえる。

戸惑いと恐怖の声だった。


「謝る相手を間違えてますよ、真木君。自分のしたこと理解してますよね?」

「田代君!すいません!」


真木君の大きな謝罪の声が聞こえた。

彼のこんな張り上げた声を聞いた事がない。

すると他の5人も謝り出した。

上の状況はどうなってるんだろ…まだ頭を押さえつけられてるから分からない。

でも多分、皆圧倒されてる。

だってこんな天野を見たのは初めてだ。


「田代君、こんな彼らを今回だけ大目に見て頂けませんか?プライドの高い彼らが土下座までするなんてよっぽど反省しているんですよ。」

「でも…、」

「田代君、お願いします。」


天野が再び頭を下ろす。

視界の横に天野の髪の毛が見えた。

そして真木君を筆頭に、お願いしますと声が上がった。


「分かった…今回だけな。次は許さねぇから。」

「田代君、本当に申し訳ないです。」





あきゅろす。
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