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3.side:骸


 目の前で二人仲良くソファに座り、紅茶を飲んでいるバカップルがうざくて仕方無い。



(…完全に僕の事忘れてますね。)



 うざいならここに来なければいいだけの話ではあるのだが、そうもいかない理由が一つ。
 それは、僕が綱吉君を好きだという事。



(あああ!何でそんなくっついてるんですかー!?)



 僕が綱吉君を好きだと知っているクセにわざとらしく目の前でイチャついている二人は本当に意地が悪い(いや、本当は雲雀君がこれ見よがしに綱吉君にちょっかいを出していると言った方が的確な表現ですが)。
 照れた顔して、それでも嬉しそうにしている綱吉君のその瞳が、僕だけを見てくれればいいのに。



(まぁ、無理な話なのかもしれませんけどね。)



 雲雀君は本当に狡いと思う。いつでも綱吉君の傍に居られて、こうして堂々とイチャイチャ出来て。
 いっそ幻術を使って雲雀君になりすますとか、憑依弾で雲雀君の身体を乗っ取ってやろうかとか、くだらない考えは尽きない。でもそれは意味の無い事だ。



(綱吉君なら、気付いてしまうから。)



 それに、それでは彼が“僕”を好きになった事にはならないから。あの甘い表情で、声で、僕の名前を呼んでくれたりなんてしないから。



(きっと、もっと虚しくなってしまうでしょう?)



 だから僕は綱吉君を見ているだけ。雲雀君を羨んでいるだけなのだ。



「――骸?どうしたの、ぼーっとして」



 飛んでいた思考を引き戻したその声を放つ綱吉君の目が僕を見ていて、その事実に不覚にも目頭が熱くなるのを感じた。



(…どうして君はそう、優しいんですか。)



 その優しさは時に残酷なのだと、きっと彼は気付いていないから。



(だから僕は、見ているしかないんですよ。)



「…何でもないです。どうぞお気になさらず」



 そう?と微笑んだ綱吉君の視線が雲雀君に戻った瞬間、今度こそ本当に泣いてしまうかと思った。



Fin...


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あきゅろす。
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