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 堕ちる。熱い熱い、逃げる事の出来ない感情の中へ。それを止める術など俺は持っていなくて、抗う事なく身を任せているだけ。



(ああ。それでも。)



 痛みを伴う灼熱の想いに灼かれていくのはなんて心地が良いのだろう。それは、きっとこれが彼の想いの熱さだと知ってしまったから。



「骸…?」



 夜明けが訪れる度、骸は静かに涙を流す。一体それは何を憂うが故の雫なのか。それすら知らない俺に出来るのは、只、彼に寄り添っている事だけ。



「…大丈夫。俺は、どこにも行かないから」



(だからもう、泣いたりしないで。)



 不安に思う必要なんてどこにも無い。それが身体中から伝わっていけば骸が泣く事なんて無くなる筈なのに。



(一つになれたら、言い表す事の出来ないこの想いを伝える事が出来るのだろうか。)



「つなよし、くん……。ごめん、なさい…」



 幾筋もの涙を流しながら許しを請う骸が愛おしくて堪らなくて。俺はいつからかこうして彼の頭を掻き抱いて、静かに耳元で何度も同じ言葉を囁き続けるようになった。



「大丈夫、俺はここに居る。…ずっと、骸の傍に居るから」



 こんな時、いつも思う。



――抱き寄せて欲しい。俺を、確かめて欲しい。間違いなどないんだと、思わせて。



 二人の世界に間違いなど一つも存在しないんだと、その唇で教えて欲しい。キスで全てを塗り替えて、俺と貴方だけの世界を造っていきたい。



「…君は、僕を恨んでいるんでしょう?」

「なんで……?こんなに、骸の事が好きなのに」



 堕ちた先に居た貴方に、囚われて。共に灼熱の感情に身を焦がして。
 貴方を抱き締めながら涙を流すそれが、残酷なまでに幸せだと思えるのはどうしてだと思う?


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あきゅろす。
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