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 自覚した瞬間、俺は彼にとても酷い事を言ってしまったのだと気付いた。
 俺の事を。この世界では死んでしまっている俺の事を。それでもまだ好きだと言ってくれたこの人を、俺の好きなヒバリさんじゃないと切り捨てた。
 彼にとってきっと俺は、変わる事無く“沢田綱吉”である筈なのに。



「……ごめん、なさい」



 自然とその言葉が零れ出た次の瞬間、俺は雲雀さんの腕の中に居た。強くて、それでいて優しく俺を抱き締める雲雀さんが温かくて、俺の流す涙は嬉しさと安心からのものに変わった。



「ごめんなさい…!俺、ひどい事、言って……」

「別にいい。大丈夫だから。…だけど、もうあんな事言わないで」

「…はい。もう、絶対言いません……」



 もうあんな悲しそうな顔をした雲雀さんを見たくなんてないと思った。
 これからどんな辛い思いをしたって、俺が彼に与えた悲しみの表情を見るよりも辛い事なんて無いだろう。



 彼の腕の中で泣きながら、俺は絶対に未来を越えて過去に戻ってやると。そして過去を変えて未来を導いていくと心に誓った。



「…俺、頑張ります。絶対に過去に帰って、こんな悲しい未来にならないように変えます。……だから、協力してください」

「分かってるよ、そんな事。……この僕がしっかり教育してあげるんだから、何としてでも勝つんだよ。ミルフィオーレファミリーに」 



 未来を変えて、過去を変える。
 それはきっと容易い事じゃないけど、未来の雲雀さんと俺の為に。そしてボンゴレファミリーの為に頑張る事が、今の俺に出来る唯一の事だとしっかり心に刻みながら、俺は雲雀さんの温もりの中で瞼を閉じた。



Fin...


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あきゅろす。
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