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夢のようなデート!





「ヒカリ、出掛けますよ」



休日の朝、唐突に言われた言葉。朝食を済ませて、洗い物が終わるとソファーでくつろいでいたジェイドが言った。出かけるの意味がわかんなくてあたしは手を拭きながら、はい?と首を傾げる。



「たまには外に出かけましょうと言ってるんです」



それとも私と出かけるのは不服ですか?なんて言うもんだから、滅相もございません!お供します!と手を挙げた。だってジェイドがたまにしかない休みに一緒に出かけようなんて言うんだから行かないわけがない。てか、二人っきりでって事だよね?それって、



「うおぉぉーっ!ジェイドとデートだぁ!!」
「あんまり騒がしいと行きませんよ」



なんて意地悪なことを言う。いやいや、案外マジで行かなそう。鬼畜眼鏡だもん。ただこんなに優しいと他に企みがありそうで怖いけど、まぁ目先の幸福を舌鼓することにしよう、うん。



「うっし!着替えるか!」
「……そのおっさん臭い言い回しはどうにかなりませんか?」



拳をぐっと握るあたしにジェイドは呆れた表情を浮かべる。そう言われても困るんだけどね。



「これがヒカリちゃんクオリティでっす」
「……もう何でもいいので着替えてきなさい」



終わったら玄関に来てください。とジェイドも自室のある二階へと上がっていった。



「何着て行こっかなぁ」



と言ってもお出かけするような服は持ってないんだよなぁ。機能性重視しちゃってるから。それっぽいのったら、黒のカーディガンに白いブラウスとチェックのキュロット。これは見た目スカートに見えて結構可愛い。にブーツかなぁ。定番と言えば定番だけど無難と言えば無難。ピオニーに給料という名のお小遣いももらってるから一着くらいお出掛け用のを買うかな。



「おまたせ……ぎゃふっー!」



着替えて降りるとすでにジェイドはいた。普段、軍服と部屋着姿しか見たことがなかったけど、初めて私服って見た。黒のジャケットに薄い青のシャツ。なんか高そうなスカーフまで付けちゃって。んで茶系のズボンに革靴。スタイルがいいからマジで似合うな。髪の毛も邪魔なのか珍しく下の方で結ってるし。



「あたしを萌死にさせるきですか!?今なら出血多量で死ねる!!」



着てる服だけじゃなくてうなじが滅茶苦茶色っぽい!女のあたしが悩殺されるくらい。



「もう思い残すことは何もない……ぐふっ」
「馬鹿なことを言ってないで行きますよ」



一人悶え苦しんでいるとジェイドは溜息を吐いて先に出て行ってしまった。待ってぇぇ!と追いかける。



「いい天気!」



絶好のお出かけ日和。風も穏やかだし。少しぶらりしてお昼に入ったオープンカフェも天気のせいかすごく心地いいしいい雰囲気だったし、ジェイドが連れてきてくれたお店だったから味も美味しかった。



「服は自分で買ったのにぃ」
「私がいるのにあなたに買わせるのもおかしいでしょう」



仕事の時の普段着もだけど一緒にお出掛け用の可愛い服を……めっちゃ一目惚れ……ジェイドが買ってくれた。値段もそこそこ。お小遣いを使い切る覚悟をしてたのに、極々自然にジェイドが手に持っていた服をかっさらいレジへと。彼が言いたいのは、大人が子供の物を買うのは当然って事なのだろう。


「けど、ホントに珍しいね」
「何がです?」




服の他に靴まで買ってもらって荷物も持ってもらっている。あたしが持ってるのは意地でもあたしが買うと言ったアクセサリーのみ。帰路に着く途中、疑いの眼差しをジェイドへと向ける。



「だって、ジェイドがめちゃ優しいんだもん。欲しいもの買ってくれるし」



怖いくらい優しい。普段の鬼畜っぷりはどこへと行った。普通にデートしてた。ジェイドがあたしをそう言うつもりで連れ出すとは思えなくて。



「たまにご褒美を上げないで暴れられても困りますから」
「あたしを何だと思ってるんだか……てかこれって飴と鞭の飴の方なのか!?」



普段でも厳しいときはとことん厳しいのに今日一日でこんなに贅沢したら明日からもっと怖い目に遭うんじゃ!?うおぉっ、そう考えたら悪寒が走る。



「鞭がどう変わるかはヒカリ次第ですよ」
「……ふぁーい」



最初の頃に比べると失敗はしてないもん。下手なことを言うと怖いから止めておこう。明日、何が起きるのは今はまだ知らなかった。




((夢のようなデート!))



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