逆ハーレム決定!
「どうなってるんだ?」
部屋の光景を見なるなり目をパチクリさせてそう言ったのは金髪の青年。あたし的には今すぐにも叫びながら踊り狂いたい状況。ただそうしたいにも関わらず、そう出来ないようにジェイドに頭と口を押さえつけられているからできやしない。
「おう、ガイラルディア」
「遅かったですね」
「あ、ああ……朝は貴族院の方に……って!そうじゃなくて……」
何となく言いたいことはわかるようなわからないような。まあ見ず知らずの女がピオニーの執務室のソファーでくつろいでれば疑問に思うのも仕方ない。
「実は――」
事の経緯をあたしの頭と口を押さえたまま説明するジェイド。いくら鼻の穴は塞がれてないと言っても、さすがに十分以上口を塞がれてると息苦しくて適わなかった。ぐ、ぐるじい〜とジェスチャー付きで訴えたら、ああ、すみませんと爽やかに返された。これがジェイドじゃなかったら怒り狂ってたかもしれない。
「……この子が、異世界から来たってのか」
「イエス!オフコース!」
半ば信じがたいってという風にあたしを見るガイ。生ガイ、イケメンすぎて動悸が激しくなる!
「これからの処遇を決めようとしている所です」
「寧ろ誰か嫁にもらって下さい」
ガイへの説明を終え、あたしはこれからどうしたらいいのかってのを決めようとしていたときにガイが来たのだ。
「俺で良ければいつでももらってやるぞ」
「くっは!マジっすか!?」
「陛下。冗談は夢の中だけにして下さい。ヒカリも真に受けない」
えー、と二人で声を上げたらジェイドに絶対零度の赤い瞳で睨まれました。あまりにも怖かったから思わず土下座しちゃったよ。
「ず、随分と面白い子だな……」
「ガイ。無理にフォローをしなくても結構ですよ」
溜息を吐かれたけど今のあたしにはそんなもんどうでもいい。そりゃあ、だって、
「イケメン三人に囲まれて逆ハーレム状態に萌えぇ!」
ひゃっほーい!と両腕を突き上げたら脳天にチョップがかまされました。地味に痛くて床にしゃがみ込む。マジ痛い……ジェイド容赦ない。
「あなたはもう少し自分のことを考えなさい」
「えー、だったさぁ。帰り方なんてわかんないんだもん。だったら今を満喫したいじゃん」
うんうん、そうだよね。どういう理由で方法でオールドラントに来たのかわからないんだから帰る方法なんてもっとわかんないもん。
「せっかくマルクトのイケメントリオと出会ったんだから堪能せねばオタクの名が廃る!」
「言っている意味が分かりません」
グッと拳を握れば、ジェイドに盛大な溜息を吐かれた。
「本当に面白い子だな」
「ならガイもあたしと一晩どう?」
すすすっと近寄りながらにんまり笑うと後ずさりされた。ついでにジェイドから拳骨を食らった。
「話が逸れましたがヒカリを今後どう扱いますか?」
「そうだなぁ……よし!俺のあい……」
「却下!」
ピオニーが何かを言い掛けたところでガイが大声を上げた。ぶーぶー文句を言う彼にジェイドも当然ですと眼鏡の位置を直す。
「仕方ありませんねぇ。身分は適当にでっち上げて、私やガイの雑務の手伝いでもさせますか」
「いいのか?」
でっち上げるってすげぇ、と口をあんぐりさせる。けどガイは眉を顰め難しい顔をする。なんかあるのかな?
「下手に隠し立てするよりはいいですよ。放っておくと暴走しそうですし」
「……なるほど」
「えー、あたし大人しくしてるよ?」
暴走なんて酷いなぁと呟けば三人が哀れむようにあたしを見る。なんか間違ったこと言ったかな。
「私とガイで監視してれば大丈夫でしょう」
「俺は?」
「陛下じゃあ一緒に遊ぶ恐れがあるので」
うーん、それに関しては否定できないぜ。でも考えようによってはラッキーかも。だって一日中、ジェイドやガイと一緒にいられるってことでしょ?
「……涎が出るぜぇ」
じゅるりと本当に出そうだった涎を手の甲で拭う。と、三人に引かれた。
「些か不安を覚えます」
「ま、まあ……何とかなるんじゃないか?」
みんなにから見たあたしって何なんだろう?この世界にオタクって存在しないから珍しいのかな?
「んじゃ、よろしくお願いしまっす!」
こうしてオールドラントでの仕事が決まりました!
((逆ハーレム決定!))
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