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新婚生活みたいです!





「おはようございまっす!」



右手にフライ返し、左手にはフライパン。ついでに真っ青なエプロンを身につけてこの家の主に朝のご挨拶。虚を突かれたような表情を浮かべるジェイドに私は満足げに笑う……いやいやかなり満足ですよ!



「くっはー!ゲームでは見れないジェイドの寝起きパジャマ姿ゲットぉーっ!!」



ついついクルクルと回ってしまった。しかし写メをパシャリとやりたいところだけどケータイはうんともすんともいってくれないんだよね。うーん、トリップってのは万能じゃないんだね。あんま便利でも変な気もするけど。



「はぁはぁ、鼻血出そう」
「あなたは本当に女性ですか?」



一人で悶え苦しんでれば呆れたような表情をされた。



「生物学上は女ですよー」



解いておいた卵をフライパンへと流す。溶けたバターと卵の焼ける匂いが食欲をそそる。っても自分で作ってるんだけどね。出来上がったオムレツは先に焼いておいたベーコンの脇に置く。我ながらなかなかのできだね。



「朝食が出来ましたー!」

キッチンにあったクロワッサンを皿に乗せ、出来上がった朝食をテーブルへと運ぶ。あとはーとキッチンへと振り返ると手際よくジェイドが紅茶を入れていた。おお!なんてレアな物を見たんだ!!っても昨日の夕飯はジェイドの手料理だったんだぜ!



「あなたは朝から元気ですね」
「それだけが取り柄でっす!」



目の前にジェイド目の前にジェイド…とまるで呪文のように唱える私にさっさと食べなさいと叱る。やっぱ夢じゃない。朝起きたら夢でしたーなんてことはなかった。



「……未だにあなたの話の真偽が疑われます」
「でも私は嘘を言ってないですよー」



昨日衝撃的な出会いのあとピオニーの執務室で説明という名の尋問にあっていた。隠す必要なんてなかったから「異世界からトリップしてきました!(テヘッ)」とウインクしたら何故がジェイドに溜息を吐かれピオニーには大爆笑された。更に信じてもらうためにアビスの内容を話したら驚かれた……というか目つきが変わった。本人たち以外が知り得ない事を言うんだから仕方ないよね。



「ヒカリちゃんは素直でよい子ですから」
「自分で言っていたら世話ないですね」



素直だからこそ本当のことを話してるっていうのになぁ。手強いな、うん。



「……」



ふとあることに気付いて食事の手止めたことにジェイドが気付く。どうしました?と問われるがこの何ともいえない感情に肩が震える。ヒカリ?なんて呼ばれてしまったから余計に。



「くーっ!この状況ってまるで新婚生活み……ぐはっ!!」



喜びを大いに露わにしようしたら何かが顔面へとヒットしそのまま椅子ごと後ろへと倒れる。その当たった物は新聞だったんだけど、新聞って殺傷能力あったんだ。ああ、あの見なくもないものワースト1のGを退治するときによく使うっけ。



「……い、痛い……ジェイド、酷い。乙女の顔になんてことを……」
「戯れ言が聞こえたのでつい」



ああ、今のボイスはおちゃけたというかからかってるときの可愛い声ー。ちくしょう、かわええ!とか思ってる場合じゃないのに。しかし役得だ。生で聞けるなんて、役得以外言いようがない。



「夢見たっていいじゃないかー」
「ベッドの中で一人で見てください」


うーん、つれない。しかしに顔がニヤケたまま直んないぜ。



「ところで私は今日はどうしたらいいの?」
「とりあえず一緒に宮殿に行きます」



陛下がお呼びですからね。と溜息混じりに言われたが私は笑顔全開。今日もピオニーに会える!ピオジェ妄想に走れるじゃないか!いかん、涎が垂れる。



「昨日決めきれなかったあなたの今後の処遇について話をするだけです」



大人しくしてないと牢獄行きですよ。と脅されてしまいました。それだけは勘弁かな。今後もこのままジェイド宅で養ってくれればいいのに。私は大歓迎ウエルカムなのだよ。



「顔がだらしないですよ」
「うおっと、顔に出てたか」



それで隠してるつもりなのかといった風な顔された。ただ己に正直なだけなのにな。



「厄介な物を引き受けてしまいました」
「私的にはちょー役得!」



食べ終わったお皿を流しへゴー!私が洗ったお皿をジェイドが隣で拭く。やっぱりさ、





((新婚生活みたいです!))



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