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トリップしちゃいました!





「ぬぉぉぉーっ!!」



何がどうしてどうなったって言うんだよー!私はただ歩いてただけなのにぃ!!何故に下校途中の道のマンホールの蓋が開いてんのよ。そりゃ落ちるっての。帰ったらプレイ途中のゲームやる気満々だったのにぃ!!



「何がどうしてこうなったぁぁー!」



私の体はただただ落下していく。しかしマンホールってこんなに深かったっけ?というくらいいつまで経っても地面へと辿り着かない。体が地面へと叩きつけられるとわかっているから身を強ばらせて待ち受けるものの、まだ浮遊間は続いている。



「ぎゃふっ!」



そんなことを考えていたら間もなく、地面へと打ち付けられた。いやいや、そんな不意打ちはいらんよ。私が求めるの不意打ちは萌えるような展開だよ。御馳走様でしたぁ!と叫びたくなるようなものを求めてるんだよ!



「なんだ?女?」
「陛下。得体の知れないものに近寄らないで下さい」



んー?頭上からイケメンボイスが聞こえるぞ。聞き覚えがあるから顔を見たいけど、真正面から落ちたせいか顔面が痛くて起き上がれない。



「……い、イケメン…ボイ、スぅ……」



やっとのことで出た言葉がこんなんのはさすがは私。頭上から、はぁ?と綺麗にハモった声が聞こえる。



「おまえ、どこから入ったんだ?」
「陛下!得体の知れぬ者に触らないで下さい!」



ごろん、と体を反転させられると景色が一気に変わった。清々しいほど綺麗な青空に何だか見覚えのある金色と亜麻色が見えた。見覚えあるんだよ。だって私のバッグの中の3DSにそのゲームソフトが入ってるんだから。んん?なんで入ってるんだっけ?もう5周目をクリアー目前だったっけ。我ながらよくやり込んでるよ。目の前というか頭上というか、私を覗き込んでいるのはこのゲームのキャラ……キャラ?



「ぎゃわー!ジェイドにピオニー!ピオジェキターっ!!」



なにこれなにこれ!?なんで目の前にジェイドとピオニーがいんの?あれ?



「コスプレ?」



寝転がったまま首を傾げてみる。普通に考えたらいるわけないもん。コスプレイヤーにしては似てるしイケメンだよね。それに声までそっくりだし。これで本物だったらスゴいや。



「どうやら不審者のようですね。憲兵を呼びます」
「いや、待て」



ジェイド似が身を翻すと、ピオニー似が片手を挙げて止める。うおぉっ!かっけえぇ!



「おまえ。名前は?」



脇の下に手を入れられ、子供を持ち上げるように立たされる。何とも恥ずかしい!た、体重がバレるじゃないかっ!うわぁぁっ!か、顔がめっちゃ熱いよぅ!!



「で、名前は?」
「は、はい!姓は近衛、名はヒカリと申します!」



思わず敬礼しちゃった。けど見れば見るほどピオニーとジェイドにそっくりだなぁ。これ誰に自慢しようかなぁ。



「えっと……ヒカリ、でいいのか?」
「でっす!」



うひょー、やっぱりカッコいいなぁ。今日は何てツイてるんだろう!



「ところでヒカリはどこから来たんだ」
「東京ですよー。てかここどこですか?」



そういやどこなんだろう?住宅地を普通に歩いていたのに、周りは見知らぬ建物とか緑とか都会なのに潮の香りとか。道を歩いてたのにかなり広い庭にいるなんて。てかマンホールに落ちたよね?あーれー?



「ここはマルクト帝国の首都グランコクマです」



私の問いに答えたのはジェイド似の人。しかしよく似てるなぁ……ん?マルクト帝国?グランコクマ?


「マジでかぁぁぁっ!?」



いやいやいやいや。有り得ない!トリップなんてないっしょ。そんなアニメやゲームの話、だよね?でも……それならピオニーとジェイドのそっくりさんがいるのもわかるや。



「なんだ。いきなり叫んで」
「そ、それは……」



オタクな私でも信じらんないのに、この二人が信じてくれるとは思えない。どう説明したらいいんだろう。



「……どうやら異世界からきたみたい、です」



てへっ、と笑って見せたけど二人は意味わかんないと言った風な表情をしてる。まあそうだよねー。



「えっと、マジ話です」



これが私の物語の始まり。このあと同時に、はぁ?と言われ一生懸命説明して疑われながらも何とか納得してもらってと。まるで夢のような出来事か始まったとさ。





((トリップしちゃいました!))



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