たくさんのいのち(変態 「勿体ねえな」 吐き出したものを見て土方がいった まだ呼吸が整わない俺はその意味がわからなかった 朝になって昨夜のことの意味を考えてみる。隣には土方。俺の髪に顔を埋めて寝ている。ヨダレたらしてねーだろうな。ていうか背中に回されてる腕が気になる。一晩中抱かれてることになるじゃねえか俺。 土方は俺の吐き出したものを勿体ねえと言った 吐き出したもの、それは命の半分だ。それを勿体ねえというならば俺の中に入ってきたおまえの半分の命の方が勿体ねえよ。ごめんな、俺はおまえのそれと結合するためのものがない。ごめんな、俺の中で死んでゆく。 そもそもお前が俺を抱くことの方が勿体ねえよ。お前には上等な女だって余るほどだよ。そんくらいオメーは 「何考えてる」 は、ときづくと土方が俺の顔を見ていた。いや、土方の顔を見ていた俺の視線に気付いた土方が起きたんだ。 「おはよ…」 「…くだらねえこと考えてるツラだな」 そういうと土方は体を起こして俺をまた組み敷く。 朝っぱらからなんの真似を、と思うが昨日さんざっぱら弄られた体はいうこときかねえし、更にいうならば敏感でありまして、 「おら、言えって」 「ん、あ、待て、って」 なんでお前はそんなに頑張って俺を知ろうとするんだ。勿体ねえよ、俺ごときに。 「ひ、あっ、でる…」 そう言うとあろうことか土方は、俺が吐き出す以前にそこに口づけた。 「わ、バカっ…!」 間に合う筈もなく俺は出してしまった。それは土方の嚥下に従って飲み干された。 「な、な、な、なにしてんだ」 茫然となりながら土方に喚く。 「勿体ねえと思ったんだよ」 「は、はあ?」 「おまえから作られるもの、全部欲しくなる」 それは、それはなんというか、 そんなに俺が欲しいのかこの男は。 そんなことを言われたら俺のあげれるものならあげてやるよ 代わりに俺にもおまえの何かをくれてやって。 終 *前#次 [戻る] |