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(タカ綾/落乱)






校庭のすみっこで、猫を見つけた。
ひんやりとした日陰に横たわっていて、完全にくつろいでいるのが伺える。


「(あ…あの毛並み)」


灰色混じりの紺色が、今日もどこかで塹壕を掘っているであろうあの子を彷彿とさせる。
猫の傍まで寄って抱き上げると、猫は小さく鳴いた。

遠くでみんなが俺を呼ぶ声がした。そういえば今は授業中だったっけ。


「ちょっと早めの休み時間にしよっかな」


誰に言うでもなく、ぽつりと呟くと、猫を抱えたまま地面に寝そべった。







「タカ丸さーん!……ったく、何で迷子になるんだ……」
「片っ端から探すしかないな。おい喜八郎、お前も探……あれ」
「居ないな」


滝夜叉丸と三木ヱ門が呼んだとき、僕は既に歩き出していた。
どうせもう終業の鐘が鳴るし、探さなくても出てくるだろう。


「おや」


掘りかけの塹壕へと向かおうと足を進めたところで、見覚えのある紫色の忍装束を発見した。


「タカ丸さん、居眠りですか」
「んー……ふふふ」
「(楽しい夢でも見てるのかな)」


タカ丸さんは木陰で猫を抱いて眠っていた。
猫はどうにか腕から逃れようとしているが、がっちり抱えられていて、抜け出せないようだ。


「……可哀想に」


タカ丸さんを起こさないように、猫を引っ張り出してやると、猫はにゃあ、と鳴いてどこかへ消えていった。


「あほみたいな寝顔」
「綾部くーん……」


なおも寝たままなタカ丸さんの傍にしゃがみこんで寝顔を覗いていると、名前を呼ばれた。


「起きてたんですか?」
「あのね……が……だよ……」
「……はい?」


何を言っているのか聞き取れないので、顔を近づけると、さっきの猫のように腕の中に閉じ込められてしまった。


「タカ丸さん……寝惚けてる」


こんなところを滝夜叉丸や三木ヱ門に見つかったら何と弁解すれば良いのやら。それは見つかってから考えるとする。


「(今はとりあえず、寝よう)」




猫を見つけた日







目が覚めて、真っ先に飛び込んできたのは、灰色混じりの紺色。
あれ、この髪の毛は、


「綾部、くん?」


寝る前は確かに猫を抱いていた筈なのに、起きたら何故か綾部くんを抱いていた。


「綾部くんって……猫だったのかぁ」
「違いますよ」
「あれ、起きてたの」



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タカ綾ってなんでマイナーなんだろう…と思う今日この頃


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