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そらばけ
奇跡的にパンは無事


「っはー…やっと、抜けられ、た……」

未だに押し合いへし合いになっている人混みを横目に壁にもたれた。
右手にはパン(それも2つ)、左手には財布。服はしわくちゃなんてものじゃない。ついでに言えば、今日みたいな暑い日があっても、明日の衣替えまではカーディガン着用の冬服だ。
やってられない。

「おう。井黒。どうした?制服がしわくちゃだぞ。」

「…………まぁ、なんていうか暑くて死にそうです。なんで生徒はこんなクソ暑い日にカーディガン着用して体脂肪燃やしてんのに、先生はそんなクールビズでメタボ一直線なんですか。嫌みですか。」

「はっはっはー。そうかそうか。まぁ頑張れよ。先生は今からお昼だからなァ。じゃっ。」

あああ。何しに来たんだ。あの英語教師は。
あたしのしゃべり損じゃねぇか。しかも余計に気力使ってしまった…。
まぁさっきの数学教師――木崎先生より生徒ウケはいいだけまだ救いだ。

「…たいていの先生なら木崎先生よりウケがいいと思うのは私だけでしょうか。」

「はるちゃん。それ言っちゃお終いだよ。ねぇ?あきちん。」

「…………。」

つい二人の言に納得してしまった自分がいる。尚も後ろでやんやと先生様の格付けをしているが…気にしないでおこう。
それよりもそろそろお腹が限界だった。だってすでに手の中にはパンがあるのに、耐えろって方が無茶でしょ。

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あきゅろす。
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