そらばけ 服のシワの一番の原因 「焼きそばパン2つとメロンパン1こくれ!!」 「計350円!!」 「蒸しパンちょうだいー」 「400円の50円ね!!そこは120円!!…ちょうど!!」 「おばちゃん!ウィンナーの!!」 「おばちゃんじゃなくてお姉さんとおっしゃい!!高くするよ!!130円!!」 十人の言葉を同時に聞いたと言われるどこぞの一万円札――もとい摂政も真っ青のこの状況に乾いた笑いが零れる。 同学年の一番乗りはあたしだったけど、1階2階にいる他の学年の猛者には距離的にも叶わず。結果、購買部のカウンター前にはひしめく人、人、人。人の山。 それを相手に数人のおばちゃ…じゃなかった。お姉さんが注文を聞き分け、代金をもらい、瞬時にお釣りを計算して、小銭を返している。いや、ホント聖徳太子よりハイレベルっていうか。 パンを手にした数人が人混みから脱出を試みるも、手の中のパンが潰されないよう必死でなかなかはかどらない。行きはよいよい、帰りは何とやら…ってか。 うあ。中には這いつくばって出て来て蹴られてる人もいる。 「あきちん。早く並ばないとどんどん混むよ?」 「そうですよ。ほら、後続が回復して追いついてきた。」 とか何とか言ってる間に2、3人が人混みの中に突撃していく。それに続いてあたしも覚悟を決めて人混みに飛び込んだ。 もみくちゃにされながらも何とか前に進もうと人をかき分ける。強引に上半身をねじ込み遅れて足を踏み出した。 上下バラバラの動きのせいで制服にもシワがよる。 でっ!誰だ!足踏んだの!! 何とかおばちゃんと会話できる位置まで行くにも一苦労だ。カウンターに並ぶパンを見比べ今日のお昼ご飯を選ぶ。その間にも、後ろからは買おうと押してくるは、前からは出ようと押してくるはで酷い有り様だ。 それでも…なんとか目当てのパンを見つけ、叫ぶ。 「…蒸しケーキと……っピザパン!!」 [*前へ][次へ#] [戻る] |