そらばけ
最上階+廊下の一番奥=嫌がらせ
「あ。来た。」
「主語を言いなさい。主語を。」
「んー。あきちん。」
「ああ。そういわれてみれば…さっき、メールが鳴ってましたね。」
***
偶然にも今日は担任の事情で、点呼が遅れているらしい。
…なぁーんて、マンガのようなことはなく。現在、街中に引き続き、校内を全力疾走しております。はい。
あたしのクラスは何の嫌がらせか最上階となる3階の一番奥だ。階段も1段どころか2、3段すっ飛ばして駆け上がる。そのまま階段を登れば屋上へと続いてて、昼ご飯とか授業をサボる時にはよく遊びにいくのだ。が、今は行ってる場合なんかじゃない。
ラストスパート!
階段から教室まで全力で駆け抜け、勢い良く教室の扉を開け放つ。
「生島り――――」
「――――っ井黒あきら!いますっ!!」
「……………。」
「井黒あ、って……あ、れ?」
なぜか、静まり返る教室。
クラスメイトの顔は…んん?
後ろに感じる担任教師へ嫌々振り向けば……やっぱりなんか違う。
「井黒さん…あなたのクラスはもう一つ奥、よ…?」
苦笑い。むしろ笑いを堪えてる方が正しいかも知れない。
一瞬の沈黙の後、誰かが吹き出し、それにつられてクラスが笑い声に包まれる。
やっちまった。
「し、失礼しましたっ!」
「あらぁ…だから言ったじゃないですか。そっちじゃないって。」
「あきちん…必死に走ってたからそんなこと聞いてらんないと思うんだけど。」
後ろで何か聞こえた気がしたけど、華麗にスルーする。今度こそ自分のクラスに入ったものの、時既に遅し。あたしの次の出席番号の子が返事をしていた。
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