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そらばけ
くつ箱ロマンチカ


割り当てられたくつ箱を開くと手紙がどっさり。なぁんてことはなく、履き慣れた靴だけが寂しくあたしを出迎えた。

「一体なんの想像をしたんだか。」

「今時くつ箱にラブレターなんて流行るわけないじゃん。」

「あきらちゃんって変なところでロマンチストっていうか…」

「「「妄想がすごいよね」」」

「やっかましい!!」

言いたい放題の3人を一喝し、今朝の全力疾走の立て役者に履き変える。空っぽのくつ箱に上履きを放り込んで扉を閉じた。明日の朝までここでおやすみだ。

「あきちん、じゃあねー!」

「明日は遅刻しちゃいけませんよ。」

へいへい。あたしの母親かっての……。
うんざりしながらも、実際のところママンは何も言ってはくれないのでちょっと嬉しかったりする。
ああ、関係が最悪ってんじゃないよ?バリバリのキャリアウーマンだからなかなか、ね。

「それじゃあ、いきますかっ」

「あきらちゃん、あたしケーキ食べたい!!」

「いいねぇ!久々にバイキング、いっちゃおっか!!」

きゃっきゃしながらまだまだ明るい寄り道を歩き出した。ふと視線を感じ後ろを振り返ると屋上からさやとはるが手を振っている。
そういえば、あの2人、いつも学校でしか見ないけど…街にいったりしないんだろうか。まぁ、今度聞いてみよっと。
なんとなく浮かんだ疑問はさておき、手を振るわけにもいかず、精一杯胸の中で強く別れを告げた。

また明日!!

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