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銀魂小説
後半
両腕で包み込めば、すっぽりと胸に収まってしまう小さな身体。
慈しむように、抱き寄せる。

「あの…何?」
「暖かいねぇ」
身体を預け、抱き留められる。密着すれば着物越しに伝わる体温。
それを確かめるように、手が頭から身体へと探るように動く。
「確かに、此処に居るんだね」
「…ハイ…」
「声も、気配も、匂いも。この感触に勝る確かなものはぁないよ…」
更に強く抱きしめられる。

確かめる為に這わされる手のひら。
指先がなぞる線。
ある意図を示すように、相手の心を手繰り寄せる為の指先の行為。

「…ん…」
片方の手が、背中から腰へ。それから太股へと這わされる。
もう片方の手が、優しく頭を撫でながらも、逃がさぬように身体を押さえている。
「ぁ…っ」
「もっと、確かめても、いいかい?」
「え、あ、…あの」
「何だい?」
「こんな時、貴方を…名前で呼べないのが…、切ない、です…」
切なさに締め付けられる胸のうちを、その手で示すように、抱き留められている胸に手を沿え、キュッと着物を握る。
「必要、ないよ」
手繰り寄せ、捕まえた心を逃さぬように抱き締める。
相手の鼓動が早くなる、熱くなる身体を確かめ、意図が伝わった事を知る。
「此処に居る間は、名前なんて必要ないさね」
「でも、んっ」
もう一つ、確かめる感触を求めて、唇を合わせる。
首の後ろに手を廻し、更に引き寄せる。
唇から中へと、生々しいぬくもりが滑り込む。湿り気を帯びた音が漏れ、追いかけてくる舌におずおすと応える。
口の端から零れた唾液が、顎から首元へと流れ、その感触にゾクリと身体が反応した。
「…、坊や」
「…ふっ…ぁ」
「いい、かい?」
「…ハイ…」

ゆっくりと押し倒された畳から、い草の匂いがした。

静寂な部屋に、甘い息遣いと濡れた音が溶けていった。


「言い訳、考えなくちゃ…」
「雪が積もれば、帰れなかったって言い訳できるけどねぇ」

抱き合い、体温を分かち合う夢現の中で、確かめた愛しい感触が笑う気配がした。



<おわり>
まだ、お互いの素性を知らなかった山崎と似蔵さんの療養生活期の自分妄想設定です。


 ゴ メ ン ナ サ イ 。

特に、万斉ゴメン。マジゴメン。
うちでは、山崎の最初の相手は似蔵さんでした。
肝心の最中は、サクっとスルーしましたけどね(ヘタレな書き手でスミマセンコレで精一杯)。



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