PARODY
彼のこと〜Boy hears of boy〜Side.N
「おはようございます」
休み時間に廊下ですれ違ったティエリアが、凛とした声で俺に挨拶をした。
「おはようさん」
俺もまたティエリアに挨拶をする。
ティエリアの脇には相も変わらずあの双子がいた。
「ニール!ティエリア・アーデと知り合いなのか?」
ティエリアたちが行ってしまうと、それを横で見ていたリヒティが興味津々といった感じで話しかけてくる。
「まあ、な」
「すっげえな」
「なにが?」
「ティエリア・アーデっつったらさ、やったら美人な、しかも男の新入生がいるって有名になってたろ?入学1ヵ月でファンクラブができて、入学3ヵ月っていうお前の記録を塗り替えたらしい」
「そう。しかもお前のファンクラブはさ、お前のことを遠巻きに見てキャーキャー言ってる女子ばっかだけど、ティエリア・アーデのファンクラブは8割方男子生徒でファンクラブというよりは親衛隊っていう方がしっくりくるらしいぜ」
ラッセも話に入ってきた。リヒティがさらに話を引き継ぐ。
「まあ、いつでもハプティズムの双子……穏やかそうなのがアレルヤで気の強そうな方がハレルヤっていうらしいけど、その二人と一緒にいるから何も起こってないみたいだけどな。ちなみに、あの双子とティエリアは幼なじみらしい」
「親衛隊に幼なじみか……まあ、障害が多い方が燃えるって言うしな」
ラッセにからかうように言われる。
「なんの話だよ?」
「なんの話って……ニール君の恋の話だろ?」
「恋?」
「なんのことだかわからないってことはないだろ?あんな顔してティエリアのこと見ておいて」
「あんな顔って……」
「もうこいつが可愛くて可愛くて仕方ないっみたいなさ」
「そうそう。ティエリアがニールのファンクラブの子に襲われなきゃ良いけど……」
「逆に、ティエリアの親衛隊に襲われないようにな。あのティエリアの顔……脈なしじゃなさそうだったぜ?」
二人はたたみかけるようにして話をしてくる。
「おい、待てよ。それじゃあまるで俺がティエリアのこと好きみたいじゃねえか」
「違うのか?」
「だって……つい1週間くらい前に初めて話したんだぜ?」
「恋に時間なんて関係ないのだよ、ニール君」
今度はリヒティにからかうように言われる。
「お前に言われたくねえな。結局クリスとはどうなったんだよ?」
「それは恋したことを自覚した後のことだから関係ないの」
「んだよ、それ……それに、ティエリアは男だろ」
「性別で恋愛する時代でもないだろ。ま、恋愛っつうレベルで好きでないにせよ、ティエリアと付き合ってくには必要だろうと思われる基礎知識、だな」
「お、そろそろ授業始まるから教室行こうぜ」
ラッセとリヒティは教室に入って行く。俺は二人の後を追いながら、ティエリアのことを考えていた。
(自分でも気づかないうちから、惹かれてやまなくて。あとは素直に認めてしまえばいいだけだった。それが、恋だと)
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