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03生理的に無理なんだ




「おはよーございまーっす」


担任がさっそく出席でも取ろうかと意気込んだとき、気の抜けた声がドアが開く音と共に響く。
突っ込む人はいないけど。
ここが大阪だったら、多分ツッコミ所が満載だと思う。

眠そうに目をこすりながら、半寝状態でジロちゃんはあたしの隣に突っ伏した。
そう、ジロちゃんは窓側の1番後ろであたしの隣。
つまり、あたしは1番後ろで窓側から2番目のところ。
ジロちゃんの前には宍戸がいる。
もちろんあたしたちで席替えのくじに細工した訳でもなんでもないのだ。
結果として凄いっていうこと。



「ジロちゃんおっはー」


朝のホームルームが終わると、生徒たちは一斉に口を開く。
何人かの女子は固まってあたしを睨み突けた。
だから、しつこい。いい加減飽きるよ。






「おいジロー。朝練来ないんだったら遅刻しないで来やがれ」

「んー? だってさー」

「今の時期はあの場所が1番気持ちいんだよねー」

「うん!」

「はあ? あの場所ってどこだよ」

「ひみつー」

「ねーっ」


ジロちゃんとにやりと顔を見合わせながら宍戸に意地悪く笑いかけた。
宍戸は一瞬嫌そうに眉間に皺を寄せたが、そうかよと一回ため息をついたけど大して興味も無さそうに前へ向き返った。
まあ、相変わらずテニス部ファンクラブの女子軍団は睨み付けてたけど。


テニス部に入ったお陰で、あたしには女友達と言える子は無しに近い。
今まで仲良かった子たちもすぐに離れて行った。
所詮その程度の友情だったワケだ。
ホント、女の友情って薄いんだなぁと実感した。

でもあたしにはテニス部のみんながいる。
幼なじみの早英は、数少ないあたしの女友達でいてくれる。
親衛隊がいるから毎日退屈しないで済むのかもしれないし。
そう考えればあたしの日常も捨てたもんじゃない!




って言うあたしだけれども、苦手なモノがある。
というより受け付けないモノが。

ただひとつ、この日常の中でも苦手なモノ。




それは…、






「おい、ジローは居るか」




来てしまった。

唯一あたしが苦手なヤツ。



無表情のまま首だけ動かして、なるべく目線を合わせないように空へ目を向けた。
背中に、あたしの苦手な『あいつ』の視線が刺さるのを感じる。



何で苦手になったんだかは分からない。
気付いたら避けるようになったんだ。

金持ちのボンボンのイケメンで女子人気No.1のヤツだけれども…。





あ、そうか。あの整いすぎた顔が嫌なのか。
はたまたあの偉そうな態度があたしと合わないのか。
それとも俺様口調があたしは受け付けられないのか。







結果、全てじゃんかあたし!
どうすんのマネージャー!





非凡人なアイツ
(そいつは何様? 跡部様!)






管理人:あいの



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