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02自分的普通な日常





「宍戸ー、おっはー!」


いつも通りに、朝あたしの次に部室にやって来る宍戸にタックルする。
これが毎朝の日課だ。

羨ましいとかキモいとかうざいとか色々言う子はいるけど、あたしにとってはその行為は『やらねばならない日課』なのだ。
おかしくてもあたしにとったら普通のこと。
別に宍戸が好きとかいう下心がある訳ではない。
もう宍戸とは男友達同士のような楽しさがあるんだ。
あたし、もしかしたら性別間違って生まれたのかもしれない。
女の子と居るより、テニス部の人たちと一緒にはしゃぐのが楽しいんだ。

ま、そのせいで親衛隊さん方には冷ややかな目で見られるんだけど。
何回興味はないけど辞める気は無いって言えば分かるんだ。
そりゃあたしでも最初の頃は怖かった。
でも今じゃあ代わり映えも何もしないからいい加減慣れた。
ほんとに慣れって怖い。





毎朝の日課が無事終われば、それからあたしの一日が始まるのだ。

向日と一緒に鬼ごっこしたり、忍足と可愛い女の子ナンパしたり、ジロちゃんと秘密の場所で爆睡したり。
時には2年の教室まで遊びに行ってわざわざ長太郎の髪の毛触ったり、若をからかったり、樺地におんぶして貰ったこともある。


これは普通じゃないって?
否。あたしにとったら平凡的な日常です。

よく宍戸に褒められる。



「お前ってそこら辺の男より男らしいよな」

「そりゃどーも!」

「褒めてねえよ!」

「いやいや最高の褒め言葉だぜ?」

「ポジティブでいーなお前」



呆れたような馬鹿にしたような顔で見てくる宍戸に無表情で思い切りデコピン。
痛っと声が漏れて、宍戸の睨みがあたしに刺さった。



「にっくたらしいけどよ、それでこそ唯子だぜ。ったく!」

痛そうに額を擦りながら、宍戸は軽く欠伸をして机に突っ伏した。

突っ伏したところを、またあたしは宍戸の頭にチョップを食らわしてダッシュで席に着いた。
同時にチャイムが鳴って担任が軽快な足音を出しながらおはようと入って来た。

斜め前の席からは殺気にも似た宍戸の睨みが突き刺さった。




宍戸にこんなこと出来るのは、多分女子ではあたしだけだと思う。






怖いもの知らず

(でもただひとつ苦手なものが…)





管理人:あいの



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